重石岳史
#29
東証スタンダード上場の大盛工業で、監査等委員の1人が会社の不透明な資金調達と調査妨害を理由に、今月予定される株主総会で経営陣の再任に反対する意向であることが、分かった。監査報告書に「付記事項」として自らの意見を記載し、経営陣と対立する異例の事態に発展する可能性が高い。証券取引等監視委員会や東京証券取引所も事態を把握し、調査を進めている。

#3
金融庁の有識者会議で、暗号資産を株式などと同じ「金融商品」とする議論が進んでいる。現在の資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管する案が有力視されるが、暗号資産の黎明期からその技術とリスクを研究してきた岩下直行・京都大学公共政策大学院教授は、そうした流れに強い懸念を表明する委員の一人だ。岩下教授が指摘する暗号資産の「不都合な真実」とは何か――。

#11
法人向けのホールセール部門で国内トップクラスの実力を誇る一方、個人向けのリテール部門では長らく競合の後塵を拝してきたみずほ証券。みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長が「もう一度リテールの旗を揚げる」と宣言する中、証券を率いる浜本吉郎社長は、復活に向けた具体的な戦略地図を描く。鍵を握るのは、楽天証券、みずほ銀行、そして証券の専門部隊がそれぞれの役割を全うする新体制の構築だ。リテール復活への道のりについて、浜本社長がその全貌を語った。

#2
東証スタンダード上場企業クシムで、旧経営陣による資産剥奪の実態が明らかになった。旧経営陣は経営権を失う直前、暗号資産交換所「Zaif」などの中核事業を代物弁済で譲渡し、12億円超の現金を流出させるスキームを実行。その背景には、価値の乏しい暗号資産を駆使した「錬金術」が存在した。内部資料や調査報告書に基づき、上場企業を食い尽くした手口を明らかにする。

#11
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。今回は、証券業界の役員報酬ランキングを公開する。

巨額の海外マネーの受け皿となり、膨張を続ける日本のプライベートエクイティ(PE)市場は「黄金期」に入ったとされる。まだ投資に回していない待機資金の累積額は10兆円規模に積み上がり、日本企業の“爆買い”が今後加速するのは間違いない。ではPE市場で注目すべきプレーヤーは一体誰か。26社の最新カオスマップで、知られざる業界の構図と課題を明らかにする。

#6
地元での融資が頭打ちとなる中、地方銀行や信用金庫は県境を越えて営業エリアを広げている。だが、土地勘や情報力に乏しい県外では審査が甘くなり、貸し倒れに至るケースも少なくない。では、全国の金融機関は越境融資によって、どれだけのメイン先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部は独自調査により金融機関ごとの越境倒産件数を集計し、実名で初公開する。第6弾は九州・沖縄地方の金融機関を取り上げる。

#7
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が6月に開始した金融総合サービス「エムット」。三井住友フィナンシャルグループの「Olive(オリーブ)」から2年遅れのサービス開始となったが、挽回は可能か。オリーブとは「戦い方が全然違う」と言うMUFGの亀澤宏規社長は、ある危機感を抱きながらも独自の“横作戦”に自信を見せる。そして、それを引き継ぐ後継者に求める資質とは何か。亀澤社長に聞いた。

#6
金融業界で誰もが口にする「顧客本位の業務運営」。しかし、その本質を突き詰めている銀行や証券会社はどれほどあるか。大和証券グループ本社の荻野明彦社長は顧客の資産価値最大化を経営方針に掲げ、部門別の商品表彰などを廃止した。大和の「真の資産管理型ビジネス」は、他の金融機関のそれと何が違うのか。荻野社長に聞いた。

#5
野村ホールディングスが創業100周年の節目に銀行ビジネスへ本格参戦した。奥田健太郎社長は、証券会社という自らの「殻」をも壊し、「次のステージ」へ向かう決意を明かす。その野望の先に何があるのか。金融界のリテール決戦に勝利すべく、野村が描く戦略の全貌に迫る。

#2
地元で貸し出しが頭打ちとなり、銀行・信用金庫が県境を越えて融資を拡大している。だが土地勘の乏しい県外では審査が甘く、焦げ付くケースも少なくない。全国の金融機関は、県境を越えた融資でいったい何社のメイン先を倒産させたのか。ダイヤモンド編集部は独自調査で金融機関別の倒産件数を集計し、実名で公開していく。第2弾は関東地方の金融機関を取り上げる。

#3
証券最大手の野村ホールディングスの起源は、1925年に大阪野村銀行の証券部が野村證券として独立したことにさかのぼる。それから100年後の2025年4月、野村はバンキング部門を新設し、銀行ビジネスへの本格参戦を宣言した。その狙いは何か。現役幹部らへの取材を基に明らかにする。

#2
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が展開する「Olive(オリーブ)」の快進撃は、単なるヒット商品の誕生を意味しない。中島達社長が目指すのは、オリーブを触媒とした「リテールビジネス全体の変革」だ。インタビューで中島社長が、銀行・証券・決済の縦割りを破壊し、顧客本位のサービスを再構築する構想を明かした。その全貌から、日本の金融が向かう未来を読み解く。

#28
EC(電子商取引)向け物流支援のイー・ロジット(東証スタンダード上場)で熾烈な経営権争奪戦が繰り広げられ、関係者が「会社の乗っ取りだ」と証言する手口が分かった。6月の株主総会で経営陣が刷新されたが、なお上場廃止の危機が残るなど予断を許さない状況が続く。特集『株主総会2025』の本稿では、関係者への取材や内部資料を基に、内部抗争の内幕を暴く。

#10
2024年に始まった新NISA(少額投資非課税制度)が追い風となり、個人の投資マネーが証券市場に流れ込んでいる。日経平均株価も活況を呈し、証券業界は大きなビジネスチャンスを迎えている。では、その恩恵は現場で働く社員の給与にどう波及しているのか。独立系証券7社の平均年間給与と、経営トップの役員報酬という二つのランキングを公開する。

ベイン・アンド・カンパニーやボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を渡り歩き、大前研一氏に「生まれながらの戦略コンサル」と称された男がいる。サイモン・クチャー&パートナーズ日本代表の栃本克之氏。業務改革やIT導入にとどまらず、企業の根幹に切り込む“真の戦略”とは何か――。その本質を語り尽くす。

#20
物言う株主として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者が取材に応じ、株主提案を行っている太陽ホールディングスが「非常に深刻なガバナンス危機に直面している」と述べ、佐藤英志社長の再任反対や医療・医薬品事業からの撤退を強く求めた。また、トヨタ自動車と豊田自動織機の株主であると明かし、豊田自動織機のTOB(株式公開買い付け)価格が引き上げられなければ、反対キャンペーンを行う意向を表明した。

#18
電子部品のプリント基板に使われる「ソルダーレジスト」で世界シェア首位の太陽ホールディングスが、アクティビスト、資本提携先、創業家、プライベートエクイティファンドらの圧力にさらされ、文字通り“四面楚歌”に陥っている。2025年3月期に過去最高業績を更新したにもかかわらず、6月21日開催予定の株主総会で株主から解任議案を突き付けられた佐藤英志社長が取材に応じ、「株式の非公開化も手段の一つとしてあり得る」と明言した。

信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)は2025年3月期、主要な業績目標が未達となる厳しい結果に終わった。筆頭株主のみずほフィナンシャルグループで財務やデジタル戦略を管掌し、今年4月にオリコ社長に就いた梅宮真氏が苦戦の原因を明かし、さらに逆襲の切り札となる「キラーコンテンツ」の全貌を語った。

三菱UFJフィナンシャル・グループと米モルガン・スタンレーの戦略的資本提携で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)とモルガン・スタンレーMUFG証券(MSMS)が発足し、今年で15年になる。提携交渉に関わったMUMSSの小林真社長が取材に応じ、個人の資産運用などウェルスマネジメント分野の提携を今後強化する方針を明らかにした。また、証券や銀行業界に「スーパー金融マン」が必要だとする持論も語った。
