重石岳史
組織統合の断行により、巨大なワンチームとなったデロイト トーマツ。しかし、真の変革はこれからだ。AI(人工知能)の進化は、従来の「コンサルタントが時間を売る」ビジネスモデルを根底から破壊しようとしている。インタビュー後編では、機能別組織から「産業別(セクター)組織」への大転換、そして「工数報酬」から「成果連動報酬」への移行という、業界の常識を覆す新会社の「青写真」について、木村・長川両氏が赤裸々に語る。

2025年12月1日、デロイト トーマツ グループが、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリーの主要3法人を統合し、合同会社デロイト トーマツを発足させた。なぜ今、専門性を持つ各組織を一つにまとめる必要があったのか。新会社の代表執行役を務める木村研一氏(グループCEO)と長川知太郎氏の両トップが、統合の真の狙いと、競合アクセンチュアと一線を画す「質的転換」への戦略を明かした。

2026年も続くとみられる株高基調を追い風に、証券業界が活況に沸いている。最大手の野村ホールディングスは、前期に19年ぶりの過去最高益を記録し、今期もその勢いは止まらない。その数字は、かつてトヨタ自動車を抜き去り「利益日本一」に輝いた1987年のバブル経済期をほうふつとさせる。だが同じ「黄金期」でも、その中身は似て非なるものだ。収益構造が激変した野村の現在地と死角を追う。

年末繁忙期を迎え、宅配便大手の佐川急便が創業来初めて、災害以外の理由で集荷停止に追い込まれた。同社は「予測を大きく上回る荷物増加」が背景にあると説明するが、実際には別の理由があった。東京・江東区の巨大物流拠点「Xフロンティア」だ。関係者への取材から浮かび上がったのは、大型施設への集約戦略の失敗、協力運送会社の離反、そして急拡大する越境EC事業への対応のほころびだった。12月中旬を過ぎた今も配達遅延は続き、年末年始の繁忙期を前に出口は見えない。物流業界を震撼させた「佐川ショック」の真相に迫る。

#11
三菱UFJフィナンシャル・グループが、2026年の新体制移行へ動きだそうとしている。亀澤宏規社長の後任には、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取が就く公算が大きい。焦点は空席となる銀行頭取ポストだ。その最有力候補に加え、さらにその先の「次々期」頭取候補も浮上。国内最大の金融グループのトップに上り詰める王道出世に「新条件」が加わりつつあることが明らかになった。

国の集団予防接種でB型肝炎に感染した被害者への賠償が、法務省における事務処理の遅滞により大幅に減少している。その原因を法務省はひた隠しにしている。B型肝炎訴訟を日本で最も多く手掛けるベリーベスト法律事務所の酒井将代表がダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、国の対応への憤りを語った。

2期連続の最高益更新に向けて視界良好な野村ホールディングス。2025年に5万円を超えた日経平均株価は、26年も高値5万9000円と強気の見通しを示す。ビジネスモデル変革の成果が表れ、全てが順調に見える中、奥田健太郎社長の口から出たのは「死角はたくさんある」という意外な言葉だった。奥田社長が26年の市場予想、そして直面する「真の課題」を明らかにした。

集団予防接種によりB型肝炎ウイルスに感染した人への国家賠償金の支払いが、今年に入り著しく滞っていることが分かった。ダイヤモンド編集部が国に情報開示請求を行ったところ、賠償金の支払件数は前年比6割程度に落ち込んでいた。法務省における事務手続きの遅れが原因で、デジタル庁主導で導入された新システムに不具合が生じた可能性がある。政府がひた隠す「DX失敗」が、B型肝炎患者に悪影響を及ぼしている。

日本取引所グループ(JPX)の山道裕己CEO(最高経営責任者)は2024年の本誌インタビューで、コーポレートガバナンス改革の進捗を「登山に例えれば、1合目か1.5合目」と評した。25年、日経平均株価が一時5万円を超えて高値を更新するなど市場は活況を呈する一方、オルツやニデックといった上場企業の衝撃的な不正も発覚した。ガバナンス改革はどこまで進んだのか。山道CEOに課題と26年の展望を聞いた。

東証スタンダード上場の大盛工業で、監査等委員の1人が会社の不透明な資金調達と調査妨害を理由に、今月予定される株主総会で経営陣の再任に反対する意向であることが、分かった。監査報告書に「付記事項」として自らの意見を記載し、経営陣と対立する異例の事態に発展する可能性が高い。証券取引等監視委員会や東京証券取引所も事態を把握し、調査を進めている。

ドイツの戦略コンサルティングファーム、サイモン・クチャー。現在30カ国以上で2000人が在籍する同社で、2025年1月に共同最高経営責任者(CEO)に就任したヨルグ・クルエッテン氏が、日本メディアのインタビューに初めて応じた。「成長のスペシャリスト」として独自のポジションを築く同社の強み、そして日本企業の最大の課題と捉える「プライシング」の処方箋についてクルエッテン氏に聞いた。

東証スタンダード上場企業クシムで、旧経営陣による資産剥奪の実態が明らかになった。旧経営陣は経営権を失う直前、暗号資産交換所「Zaif」などの中核事業を代物弁済で譲渡し、12億円超の現金を流出させるスキームを実行。その背景には、価値の乏しい暗号資産を駆使した「錬金術」が存在した。内部資料や調査報告書に基づき、上場企業を食い尽くした手口を明らかにする。

#6
ドナルド・トランプ米大統領の次男、エリック氏。彼が日本のメタプラネットを熱心に応援する裏には、極めて有利な条件で株式を受け取れる経済的な動機があった。本来なら他の株主に不公平なえこひいきは許されないが、メタプラネットでは「第三者算定機関」が免罪符を与えたことで異例ともいえる利益供与が敢行された。その錬金術のカラクリを解明する。

2023年6月に基本合意書を交わし、同年10月からメール便や小型・薄型荷物の領域で協業をスタートしたヤマト運輸と日本郵便。ライバル関係にあった両社の“世紀のお見合い”に世間は驚愕したが、協業開始から1年で破談の危機にあることを示す内部文書を入手した。その全貌を明らかにする。

#31
東証スタンダード上場の大盛工業が29日、定時株主総会を開く。同社を巡っては社外取締役の熊谷恵佑監査等委員が経営陣の不正疑惑を告発し、その内容を監査報告書の「付記事項」として総会で公開するよう求めていた(『【独自】大盛工業の監査等委員が異例の内部告発!不透明な資金調達の「調査を妨害した」と経営陣の再任反対を表明へ』参照)が、会社側は対応していない。事実上の“黙殺”は、会社法や東証の上場規定に違反する可能性もある。熊谷氏がダイヤモンド編集部の取材に応じ、大盛工業による「組織的隠蔽(いんぺい)」の実態を明かした。

#30
東証スタンダード上場の大盛工業で、監査等委員の内部告発に始まった混乱に収拾の気配がない。渦中の山口伸廣会長が10月29日の株主総会で取締役を退任することが決まり、会社側は事態の幕引きを図る構えだが、告発した監査等委員は経営陣のみならず、会計監査人の責任を問う意見を監査報告書に付記する方針を堅持。対立は泥沼の様相を呈している。

#5
ビットコイン財務戦略による株価100倍の高騰劇から一転、下落の一途をたどるメタプラネット。その裏で巨額の利益を上げたのが英領ケイマン諸島の投資ファンド、エボファンドだ。2011年に日本に本格参入した同ファンドの軌跡をたどると、不振企業から超有利発行を引き出す「錬金術師」の巧妙な手口が浮かび上がる。その正体を明らかにする。

#4
暗号資産を有価証券と同等の投資対象に位置付ける議論が進行しているが、詐欺的な暗号資産による被害を防ぐ手立ては未整備だ。詐欺を防ぐ“番人”となるべき取引所が詐欺集団の手中に置かれるなどの状況があるからだ。自主規制団体は「けん制機能」を誇示するが、その数字にはまやかしがある。こうした状況にもかかわらず政府が暗号資産の見直しを進める背景には、大手取引所による政界へのロビー活動が垣間見える。

#29
東証スタンダード上場の大盛工業で、監査等委員の1人が会社の不透明な資金調達と調査妨害を理由に、今月予定される株主総会で経営陣の再任に反対する意向であることが、分かった。監査報告書に「付記事項」として自らの意見を記載し、経営陣と対立する異例の事態に発展する可能性が高い。証券取引等監視委員会や東京証券取引所も事態を把握し、調査を進めている。

#3
金融庁の有識者会議で、暗号資産を株式などと同じ「金融商品」とする議論が進んでいる。現在の資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管する案が有力視されるが、暗号資産の黎明期からその技術とリスクを研究してきた岩下直行・京都大学公共政策大学院教授は、そうした流れに強い懸念を表明する委員の一人だ。岩下教授が指摘する暗号資産の「不都合な真実」とは何か――。
