シグネチャー銀行の経営破綻後会見するニューヨークの キャシー・ホークル州知事Photo:Pacific Press/gettyimages

 米シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行の経営破綻後、バイデン政権と監督当局は、政策立案者たちがこれまで実現できなかったバランスを取ろうと務めている。銀行救済に対する国民の反発を招かずに金融システムを安定させることだ。

 ジョー・バイデン大統領は13日、両行が連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれたのを受けて、両行の幹部は解任されると強調した。預金者は貯蓄を全額取り戻すことができるが、株主は保護されない。政府はまた、問題解決の一環として大手銀行により小規模な銀行の買収を求めることを避けた。2008年にはこうした要請が行われた。

 今回の政府の対応は、07~09年の金融危機における連邦準備制度理事会(FRB)とブッシュ政権、オバマ政権の経験から学んだ部分もある。米政府は金融危機の際、連邦政府の資金を投入して何百もの銀行やその他の金融機関を支援し、これらの銀行の幹部の多くは職にとどまった。さらに、投資家は本来被るべき損失を回避でき、一部の大手銀行は競合する他行を買収して事業規模を拡大した。

 当時の銀行救済策は不人気だった。とりわけ、企業の人員削減が増え、多くの世帯がローン滞納による住宅の差し押さえに苦しむようになると、その傾向は顕著になった。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員や共和党のドナルド・トランプ前大統領をはじめとする両党の政治家は、政府がエリートを守った一方で、それ以外の人々が苦しんだと非難した。