一部の欧州人たちは先週末、銀行規制が厳しいことで、自分たちは中規模の米銀が犯したような失態とは無縁なのだと自画自賛していた。さて、スイスの人たちにそれを伝えてほしい。老舗の金融大手クレディ・スイスは15日、創業166年の歴史の中で最も深刻な危機に陥った。これは金融業界が今後、これまでの経営の報いを受けるかもしれないという新たな警告であり、恐らく、2008年の金融危機後に導入された金融規制にとって大きな試練となる。
多くの人は今でも、米国のシリコンバレーバンク(SVB)やシグネチャー銀行、そして今度はクレディ・スイスが直面している苦難は、特異なビジネスモデルと経営の失敗によるものであり、不幸な銀行は確かにそれぞれに固有の理由で不幸になったのだと期待を込めて受け止めている。しかし、われわれはそれほど幸運ではないかもしれない。
クレディ・スイスの幹部らは14日、同行の財務情報の開示に関する内部管理に「重大な弱点」があったと述べた。これに続いて15日には、筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンクが、クレディ・スイスへの追加出資は行わないという不用意な発言を行った。追加出資は要請されていなかったのだが。