酒造会社で働く岩井美貴さん(29)は、これまで昇給を自ら求めたことは一度もなく、インフレ率が40年ぶりの高水準にある今年もそのつもりはないと話す。最近、ガソリン代の上昇分をほかで補うため、家計簿をつけ始めたという。「やりくりすれば貯金もできる」と岩井さん。社長は賃上げを表明しているが、恐らく物価上昇に追いつくほどではないだろう。岩井さんが勤務する1832年創業の楯の川酒造をはじめ、日本の多くの中小企業では、手に負えない賃上げスパイラルに陥るリスクはほとんどない。それはいいことだ。