飲酒は? 喫煙は? 肥満は? ストレスは?
本当に脳に悪いこと、いいことは何だろう?

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師は『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』で、現代人の願いである健康長寿を脳から実現するノウハウを提案する。認知症にならずに体も長持ちさせるためには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な生活習慣とは?

お酒を飲み続けても長生きする方法Photo: Adobe Stock

お酒と脳細胞の深い関係

 健康長寿の話をすると必ず、お酒について質問を受けます。とくに栄養もなく体に必要とは考えられないものの、ストレス発散のためや、単純に好きだからたしなむ嗜好品。こうした嗜好品は愛好家がいる一方で、まるで無縁の人もいます。それが果たして有益なのか、有害なのか? 長寿に与える影響について考えてみます。

 まず日本人にはアルコール分解酵素を持っていない人が多くいます。この人たちがお酒を飲むのは間違いなく有害です。今はあまり聞かなくなりましたが、少し前までは「お酒を飲み続けると飲めるようになる」「飲み続けると酒に強くなる」と根拠のない言葉で無理強いする人がいました。これはもうほとんど殺人未遂罪です。

 それ以外の、まあまあお酒が飲める程度からいくらでも飲める酒豪まで、アルコール分解能力のレベルは人によってさまざまですが、お酒を飲むと肝臓で分解されて毒性のあるアセトアルデヒドができるのは全員同じです。アセトアルデヒドができて、それが酵素によってさらに変化すると酢酸になって、最終的には炭酸ガスと水になって体外に排出されます。この一連の分解スピードが遅いと悪酔いしたり、二日酔いになったりするわけです。

アルコールは脳細胞を破壊する

 ここからが大事なのですが、アセトアルデヒドは脳細胞を破壊します。アルコールをどれだけ飲むと脳細胞がいくつ壊れるというデータはとれませんが、二日酔いで頭が痛いときなどは確実に脳細胞が死滅しています。「深酒してどうやって帰ってきたかわからない」「ある時間から記憶がなかった」というときは、膨大な数の脳細胞を失っています。

 脳細胞は脳を刺激することで新たに作られますが、失った脳細胞が一瞬で蘇ることはありません。失うのは簡単ですが、新しく作るまでにはしばらく日数がかかります。

 これを知ったうえで「仕事終わりのビールが楽しみ」とか「ウイスキーを飲むと緊張感がほぐれてリラックスできる」とか「唐揚げと酎ハイの組み合わせがサイコー!」とか言いながら「楽しく飲むお酒」は悪くないと思います。

 しかし、気が進まないおつき合いの席で飲む「楽しくないお酒」は、今日からやめたほうがいいでしょう。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)