インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が3月29日に発売される。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

3%の物価上昇と2%の円安が続いた場合、今の1000万円は20年後にどうなるのか?Photo: Adobe Stock

「円安から資産を守る方法」を
積極的に考えていく必要がある

 前々回に、物価上昇率が3%で推移した場合、私たちのお金の価値がどれくらい下がってしまうかを確認しました。

 ここでさらに「日本の物価が毎年3%ずつ上昇し、なおかつ円安が2%ずつ進んだ場合」について見てみましょう(下図)。

 現在の為替レートを1ドル=140円とすると、円安が2%ずつ進んだ20年後は1ドル=208円となります。現在の1000万円には約7万1000ドルの価値がありますが、物価上昇と円安の進行を加味すると、20年後には現在を基準とした実質的な価値で2.7万ドル分しかなく、マイナス62%にもなってしまうことがわかります。

 円預金だけでお金を持っていれば元本は減りませんが、物価の高騰や円安の進行などが起きれば、相対的な資産価値は大きく下がってしまいます。

「これだけお金を貯めていれば老後も安心」と思っていても、いざ老後を迎えたときには「これではまったく足りない」ということになりかねないわけです。

 こう考えると、これからは「円安から資産を守る方法」も積極的に考えていく必要があることがわかります。

(本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。