揺らぎ始めた「ゼロインフレ回帰」シナリオ、23~24年に2%インフレ定着か賃上げの基調や家計、企業の行動変化が続くとなれば、2023年、さらに24年についても消費者物価指数(CPI)は2%程度の上昇率が続く可能性がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

企業や家計の行動変化
23、24年も2%程度の物価上昇可能性

「約40年ぶりとなる4%超の高インフレは、資源高や円安などが主因であり、その影響が落ち着けば1%程度まで低下する――」

 これは民間調査機関の平均的な物価見通しであり、大和総研のメインシナリオも同じだ。

 だが、家計の消費行動や企業の価格改定行動にはこのところ変化が見られ、値上げに慎重だった企業の価格改定の動きはこれまでになく広がっている一方で、値上げにもかかわらず家計の消費は増えている。今春闘では3%賃上げが見込まれる状況だ。

 賃上げを伴う持続性の高い「ディマンドプル・インフレ」への転換が一段と進み、インフレ均衡にあった1990年代前半までの経済構造に変わる(デフレから完全に脱却する)可能性は、少しずつだが高まっているようだ。

 賃上げの基調や家計、企業の行動変化が続くとなれば、2023年、さらに24年についても消費者物価指数(CPI)は2%程度の上昇率が続く可能性がある。