米国防総省は将来の宇宙紛争への備えを強化している。背景には、人工衛星を破壊したり、軍や民間の通信を妨害したりできるミサイルやレーザーを中国とロシアが配備していることがある。米軍は、軌道上に有人宇宙兵器を配備するという考えは随分前に断念し、人工衛星を採用した。地球の大気圏外で人を後方支援するのは極めて困難なためだ。宇宙では、敵に忍び寄ることも、軌道や方向を素早く転換することも物理的に不可能だ。また、地上の戦術は宇宙では機能しないため、米中ロはいずれも宇宙紛争を戦い勝利する上で人工衛星やセンサーを頼りにしている。米連邦政府が資金提供する研究団体エアロスペース・コーポレーションの防衛システムグループ担当シニアバイスプレジデント、マーティ・ウィーラン氏は「宇宙では塹壕(ざんごう)を掘れない」と指摘。「抑止に失敗した場合、何か悪いことが起こるまで準備を待つわけにはいかない」と述べた。同氏は元空軍少将で、国防総省と情報機関の宇宙システムの戦略的見直しを指揮した。