ケビン・ウォーシュ氏 Photo:EPA=JIJI
ウォーシュ議長の金融政策
AIのディスインフレ効果と利下げ
米連邦制度準備理事会(FRB)の次期議長に指名されたウォーシュ氏の下でのFRBの金融政策運営の方向性を巡る議論が始まった。
ウォーシュ氏は過去の経験やデータを重視する政策運営に批判的で、フォーワード・ルッキングな視点からAIによる生産性上昇がもたらすディスインフレ効果を重視すると言われている。
AI革命がもたらす経済的なインパクトが、中長期的に大きいことには異論はない。しかしながら、ウォーシュ氏がそれを見越してFRB議長就任後すぐに予防的な利下げを進めると考えるのは拙速である。
第1に、AIの普及で群を抜く米国ですら、最近の生産性上昇は今のところ景気循環的な動きに過ぎず、AIによる構造的シフトの影響はまだ出ていない。
第2に、AIは生産性上昇を通じて供給力を拡大させる点でディスインフレ的である一方、データセンターなどの投資、株高による消費上振れ、電力消費爆増など需要も押し上げる点でインフレ的でもある。
第3に、AIによる生産性上昇がインフレを押し下げたとしても、その場合はインフレを安定的に保つための均衡金利である中立金利も上昇する。この場合、中央銀行は金利を据え置くだけで金融緩和効果が強まり、必ずしも利下げは必要ないかもしれない。







