かつて巨大テック企業のトップに君臨した人物が、最近熱心に調べているのは魚や米の問題だ。中国の電子商取引大手アリババグループの共同創業者である馬雲(ジャック・マー)氏は、金融規制を批判する2020年の演説をきっかけに中国指導部の信頼を失ったとみられ、その後はおおむね目立つ行動を控えてきた。2019年にアリババの会長職を退き、その後、表舞台からも身を引いた58歳の富豪は、世界の食糧問題を精力的に調べるなどの新たな生活を静かに築いている。米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏が世界の医療問題に取り組んでいるのと通じるものがある。マー氏はこの一年間、養殖マグロに特化した日本の研究所を訪れたり――職員は彼がマー氏だとは気づかなかった――、オランダの大学でサステナブル(持続可能)な食糧生産について学んだりしていた。
表舞台から消えたジャック・マー氏、食糧問題に傾倒
世界各地を巡り、マグロ養殖やゴビ砂漠について考察する日々
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