新しい職場や環境で緊張したり、新入社員が入ってくることでプレッシャーを感じたり、新年度を迎えて悩みや不安を抱えるビジネスパーソンはたくさんいます。
また、「会社や上司から正当に評価されていない気がする」「夢や目標が見つからなくてあせっている」「なかなか成果を出せずに停滞している」「学生時代と社会人になってからのギャップに戸惑っている」「自分に噓をついて働くのが正直しんどいと感じている」といった仕事の「壁」にぶつかってしまい、立ち止まってしまう人も。
そこで、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、すべての仕事に共通する「大切にしたい3つのこと」を伺いました。
(編集/和田史子)

20代が仕事で大切にしたい3つのこととは?Photo: Adobe Stock

多くの20代がぶつかる、仕事の「壁」

仕事の「壁」にぶつかって苦しんでいる。
自分は会社や上司から正当に評価されていない気がする。
夢や目標が見つからなくてあせっている。
なかなか成果を出せずに停滞している。
学生時代と社会人になってからのギャップに戸惑っている。
自分に噓をついて働くのが正直しんどいと感じている。

これらは、多くの社会人が抱えている悩みです。

20代の方を中心に、こうした悩みを、私もこれまでたくさん聞いてきましたし、私自身も悩んでいた時期がありました。

学生時代には勉強や部活をがんばればがんばるだけ評価されたのに、社会人になった途端、何か違うルールが導入されたゲームのように点数が取れなくなります。

ときには、自分と同じ、いや、自分より明らかにがんばっていない人のほうが高い評価を受けることも……。仕事とは理不尽で不可解なもの、かつてのやり方が通用しないと知り、あせりや怒り、絶望さえも覚えます。

無理もありません。私たちは「会社で仕事をするためのルール」を知らないまま、いきなり試合に出ているようなものですから。やりづらさを感じるのは当然です。

「ずる賢く」かつ「ありのまま」仕事で成果を上げるには

私は現在33歳、社長歴は12年になります。
大学4年、サイバーエージェントの内定者時代の21歳でサイバーエージェント子会社の社長に就任、入社3年目の24歳で、当時最年少のサイバーエージェント執行役員に就任しました。現在はサイバーエージェント専務執行役員を務めています。

私の経歴が強烈なのか、新入社員の中には、「飯塚さんはすごい」と言ってくれる人もいます。しかし、そう言ってくれた新人の実績を見てみると、私が新入社員のときに社長をしていた会社の業績をはるかに上回っていたりします。私からすれば「あなたのほうがすごいです!」と言いたくなります。

正直に告白しますと、私はごく普通の人間で、特別な能力や才能はありません。
ほかの人よりリーダーシップをとるのが上手ではありますが、特別なスキルがあるわけではありませんし、周囲と比べて何か抜きん出ているものを持っていると感じたことは一度もないからです。
むしろ「すごいと言われるものがない」と自覚していたからこそ、普通の自分がどうすれば早く成果を上げられるかを、誰よりも考え、試行錯誤していました。

最初は失敗もたくさんしました。しかし、周りにいる成果を出している人たちを観察し、彼らのいいところを自分なりに取り入れながら試行錯誤を繰り返しているうちに、徐々に仕事の「勘所」のようなものをつかめるようになりました。こうして「ずる賢く」かつ「ありのまま」仕事で成果を上げる方法を編み出したのです。

20代が仕事で大切にしたい3つのこと

20代が仕事をする上で大切にしたいことは次の3つです。
1.すべては「他者への想像力」(他者想)
2.成果が出ることだけやる(無駄なことは極力やらない)
3.無理せず「自然体」で自分らしく

一つずつ説明します。

1.すべては「他者への想像力」

「自分以外の誰か」を頭において仕事をすれば、驚くほど仕事がスムーズに進み、あ
っという間に仕事ができる人になります。「他者想(他者への想像力)」さえあれば、
事はもちろん人間関係もうまくいく
といっても過言ではありません。

2.成果が出ることだけやる

期待値が高い、仕事の本来の目的に集中するということです。
仕事には成果が出るものと出ないものがあるので、見極める必要があり、成果につ
ながらないことは徹底的に排除します。感情コントロールも大事です。
また、社会人になると、学校などで教わった「人としてこういうことをやっておい
たほうがいい」ということをやっていない人が多いと気づきます。まずは「あたりま
え」をしっかりやる
。その上で「あたりまえ」以上の行動をする。これで他を圧倒し、
オンリーワンの仕事ができるようになります。

3.無理せず「自然体」で自分らしく

長い人生を考えると、本当に大切なのはストレスなく継続できることです。そのた
めには「無理をしない」やり方を常に選択し、行動することが必要です。
また、本来の自分のままでいることで、パフォーマンスも最大限に発揮できます。
「自分らしく」というのは、最も成果が出る状態でもあります。

この3つを意識するだけで、仕事がスムーズに進むようになります。
苦手だった上司や先輩ともうまくやれるようになります。
仕事を通じて、自分のことがもっと好きになります。
ぜひみなさんの仕事に取り入れていただければと思います。

※この連載では、20代のみなさんが仕事をする上で知っておいたほうがいいことをお伝えします。
(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。