4月から東京都で始まる、高校生を対象とした医療費助成制度。特に23区内では他では設定されている所得制限もなく無償化が実現する。実は、子どもの医療費助成制度は自治体によってもその内容が大きく異なるのだ。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第257回では、都の医療費助成制度のポイントを押さえながら、医療費助成制度の自治体格差という問題について考えてみよう。(フリーライター 早川幸子)
子どもが一定年齢になるまでは
無償・少額負担で医療を受けられる
4月1日から、東京都では高校生を対象とした医療費助成制度がスタートする。これまで中学生以下を対象としていた子どもの医療費助成制度を、2023年度からの3年間、都下全域で高校生対象年齢に拡大することになったのだ。都が助成するのは、入院費用の自己負担分の全額、通院は1回あたり200円を超える部分で、親の所得が一定以下の場合に利用できる。
さらに、23特別区では、区が独自の助成を上乗せすることで、親の所得に関係なく、高校生までの子どもは、入院も通院も無償で医療を受けられるようになる。東京23区で子育てしている人にとっては朗報だろう。
だが、これは東京の話だ。子どもの医療費に対する助成制度は、全ての自治体にあるものの、助成内容は地域ごとに異なっている。実は対象年齢が未就学児のみとなっている自治体もまだまだある。今回は、子どもの医療費助成制度について見ていきたい。
病気やケガをして医療機関を受診した場合、窓口では年齢や所得に応じた一部負担金が徴収されるが、子どもの医療費についても例外ではない。
現在、法律で定められている子どもの自己負担割合は、小学校入学前の未就学児(7歳になる年の3月まで)は2割、小学生以上は3割で、本来は親などの養育者に支払い義務がある。
ただし、子どもの医療費については、それぞれの地方自治体が公費で自己負担分を助成する制度を独自に設けている。そのため、子どもが一定の年齢になるまでは、無償、または少ない負担で医療を受けられるようになっている。
この子どもの医療費の自己負担部分を公費で肩代わりしてくれるのが、子どもの医療費助成制度だ。「乳幼児医療費助成」「小児医療費助成」「子ども医療費助成」など、自治体ごとに名称は異なるが、現在は、全ての都道府県と市区町村が何らかの制度を導入している。
●4月から都内の高校生を対象に医療費助成制度がスタート。23区では無償に、それ以外では所得制限など諸条件がある
●自治体によって医療費助成の内容は大きく異なる、未就学児限定のところも24歳まで対象になるところもあり地域間格差が大きい