マイナポータルのWEBサイト22年度分の確定申告から、医療費控除もマイナポータルからデータを取得できるように Photo by Yoko Suzuki

今年(22年度)の確定申告から、医療費控除もマイナポータル連携で、1年分の医療費データを一括取得できるようになった。だが、実はこれで全ての申請ができるわけではなく、注意しないと控除の取りはぐれになる。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第255回では、マイナポータルを利用した医療費控除で見逃しがちなポイントを詳しく解説しよう。(フリーライター 早川幸子)

毎年の医療費控除の手間が大幅に楽に!
マイナポータル連携が3月の確定申告から可能に

 今年も医療費控除の申請期限が3月15日にやってくる。

 医療費控除は、病気やケガをして医療費がたくさんかかった人の経済的負担を軽減するための所得税の仕組みだ。

 利用できるのは、原則的に1年間の医療費が10万円を超えた人で、確定申告すると払い過ぎた税金を取り戻せる可能性がある。

 申告には、使った医療費の内訳が分かる「医療費控除の明細書(内訳書)」を添付する必要があるが、今年の確定申告から変更がある。それは、公的な医療保険に関する1年分の医療費情報が、マイナポータルサイトから一括取得できるようになったことだ。これを活用すれば、申告書作成の手間を軽減できる。

 ただし、より多くの税金を取り戻すためには、もうひと手間かける必要がある。マイナポータル連携を利用して医療費控除の申告をする場合の注意点について確認しておこう。

 そもそも確定申告は、主に自営業者やフリーランスの人などが、1年間の所得を計算して納税額を国に申告するための納税手続きだ。だが、会社員や公務員などの給与所得者も無関係ではない。

 サラリーマンで確定申告の義務があるのは、年収2000万円を超えたり、給与以外の所得が年間20万円を超えたりした場合だ。通常は、給与やボーナスから税金が源泉徴収されており、過不足があった場合は勤務先の年末調整で一応の納税手続きは完了する。

 ただし、所得税法では、負担能力に応じた税負担にするために、さまざまな所得控除が設けられている。所得控除のなかには、自分で確定申告しないと利用できないものもあり、その代表が医療費控除だ。医療費がたくさんかかったかどうかは、個別の事情で勤務先では把握しきれないからだ。

●これまで手動で入力してきた1年分の医療費がマイナポータル連携で一括取得できるように
●公的医療保険以外の費用は、従来通り手動で計算し入力する必要がある