ここ何十年かに起きた金融危機は、急速かつ激しく進行する傾向があった。通常は一握りの企業や国を中心に展開し、多くの場合はアジア市場が開く前、週末に最高潮に達する。このパターンは、現在起きている混乱が最悪の局面を乗り切ったかもしれないという希望の根拠となっている。混乱は、シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行の経営破綻、今月のUBSグループによるクレディ・スイスの強制的な買収、そしてこうした出来事に対応して米連邦政府が実施した緊急対策を経ている。しかし現在の混乱は、徐々に腐食が進むスローモーション型の危機という別のパターンを示す可能性もある。SVBが破綻したのは、各種の構造要因が重なったためだ。こうした要因は、程度は比較的軽いものの他の多くの金融機関も苦しめている。このため、今後数年のうちに、多くの銀行が業務縮小や身売りを余儀なくされ、その過程で信用供与もまた妨げられる可能性がある。
急速な金融の世界、スローな銀行危機に備えよ
中小銀行は何年にもわたり圧迫される可能性
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