ドナルド・トランプ前米大統領の起訴は、2024年大統領選に向けた動きを妨げる可能性は低く、共和党の予備選挙で役立つことも考えられるが、大統領退任後も渦巻く論争に振り回される無党派層をさらに遠ざけることにもなりかねない。ポルノ女優への口止め料を巡る問題で、大統領経験者が刑事責任を問われるという前代未聞の事態は、多くの不確実性を抱えている。だがトランプ氏の戦略はすでに見えており、短いながらも激動の政治キャリアを通じて使ってきた強硬な戦術を踏襲している。この問題での不正行為を否定するトランプ氏は「体制は自分を捕まえようとし、自分が始めた運動を潰そうとしている」という自身の主張に(支持を続けるかどうか迷っている議員を含む)共和党員が味方してくれると期待している。トランプ氏の陣営が送った資金調達メールには、「彼らが私を身動きできないようにしたいのは、私が彼らとあなたとの間に立っている唯一の存在だからだ」と書かれているものがある。トランプ氏は、マンハッタン地区検事アルビン・ブラッグ・ジュニア氏(民主党)を党派的だと繰り返し攻撃し、リベラルな富豪ジョージ・ソロス氏と結びつけている。