インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が3月29日に発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【投信業界のご意見番が教える】資産運用を始める前に考えておくべき、たった1つのこと<br />Photo: Adobe Stock

すべての人が運用に取り組み、
積極的に資産管理していくべき時代

 時代の転換点を迎えて「運用しないこと」のリスクが無視できなくなった今、私はすべての人が運用に取り組み、積極的に自分や家族の資産を管理していくべきだと考えています。

 これまで運用をしてこなかった方は、「運用」「投資」といった言葉を聞くと「危ないのでは?」「でも、うまくいけば大儲けできるかも……」などと考えるのではないかと思います。

 日本では「投資をしている人」というと、FX(外国為替証拠金取引)や暗号資産、株のデイトレードなどで一喜一憂しながら一攫千金を狙うイメージを持つ人が多いでしょう。

 また、退職金などまとまったお金を手にして「少しは増やさなければ」と考え、金融機関に相談して、一部の資金で「儲かりそうな人気の金融商品」を買うといったケースも少なくありません。

資産運用の目標設定をしよう

 こういったやり方の問題は、資産運用の目標設定が欠落していることです。

 本来、資産運用は「先々使うお金なのでインフレに負けないくらいには増やしたい」とか、「老後資金を十分に準備するために長期で大きく増やしたい」などの目標を持ち、運用に回せる金額や運用できる期間なども考えながら、目標を達成できそうな方法を検討して取り組むべきものです。

 「儲かりそうだから」とハイリスクな商品や人気の商品に無計画に手を出すのは、それこそ博打(ばくち)のようなものであり、とても「資産運用」とは呼べません。

(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)

朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。