プライドが高く、面子を気にする人も
国営企業と組むことの苦悩とは

――ところで、国営企業との合弁企業を経営されていて、やりにくいと感じることはどんなところですか?

 国営企業とパートナーシップを組み、事業を展開することにはメリットもデメリットも当然あります。

 国営企業と組む一番のメリットは、「お金」と「政府機関とのネットワーク」でしょう。我々が望むような許認可が早く手に入りますし、資金面も国がバックに控えているので、今日明日の利益に左右されずに中長期の視点で事業計画を進めることが可能です。

 反対にデメリットは、組織を動かすのが難しいことでしょう。中国でも特に国営企業は、企業組織内の各個人が責任、権限を持ちながら動くので、経営トップが命令しただけでは組織は動かないからです。

 また、国営企業の人達は、仕事ができるかどうかにかかわらずプライドが高く、面子を気にします。そういうワガママな集団を1つの方向に動かすのは、本当に大変です(笑)。

 とはいえ、正しいことは国境が変わっても変わらないので、正しいことを粛々と進めていくことが重要です。中国人にとっては面子が重要であることは理解しながらも、場合によっては中国人の面子をつぶすことになってでも正しいことを進めることが必要です。中国人同士でもそうやってパワーゲームを戦っているのです。親しい中国人から、「相手から2回攻められても我慢するが、3回目は反撃する」と聞いたことがあります。常識の異なる日本人と中国人が信頼を醸成するためには年単位の時間も必要ですが、それを待つ時間の余裕はないので、走りながら信頼も深めていくアプローチを取っています。

 また最近は国営上場企業ではKPI(重要業績評価指標)などの指標管理も導入され、従業員もKPIに基づいて評価されるようになっています。ある意味頑張っているかどうかだけで評価してくれる日系企業よりも厳しいと思います。

 中国人は結果でしか評価しないところと、懐が深いところが同居しているんですね。私も郷に入れば郷に従えの精神でやっています。


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