英会話で沈黙は厳禁。時間稼ぎにWell…やLet me see…を使うのは、英語に慣れた中級者は卒業したいところ。それでは、どう言えばいいのでしょう? 商社勤務を経て日本人向け英語教材を開発する筆者が、会話の核心に飛び込む「奥の手」を紹介します。(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)
英会話の「瞬発力」を高めるには?
英語のコミュニケーションでは、「沈黙を避ける」ことが大切だ。話を振られたときや、話していて言葉に詰まったときに黙り込んでしまうのはよくない。
世界の国々や文化圏を見渡すと、沈黙に対する耐性が低いほうがメジャーなようだ。Japan Intercultural Consultingによると、沈黙への耐性度の低い国の代表は、アメリカ、オーストラリア、スペイン、ラテンアメリカ諸国など。耐性度が高いのは日本、韓国、ベトナムなど。中程度がドイツとされている。
英語圏では、自分が考えている最中であることを言葉で明示しないと、相手は不安になる。アメリカ人だと、3秒も沈黙が続くと我慢できずに自分から話し始めてしまうことが多い。人によっては、「自分と話すことに興味がないのか」と勘違いして気を悪くしてしまう。
そこで、沈黙を避けて間を持たせるために、いわゆる「時間稼ぎ言葉」を使うことが英語学習者には勧められている。そのこと自体は全く問題ない。あなたもいくつかご存じだろう。
代表的なのは、Uh…、Um…、Well…やLet me see…などだ。How shall I put it?(どう言えばいいんでしょうかね)、Give me a second…(一瞬待ってください)などを使う人もいる。バリエーションも含め、他にもたくさんある。
だが、英語がそこそこ話せるようになった中級者にとっては、こうした時間稼ぎ言葉にフラストレーションを感じる人もいるだろう。
例えば、英語ネイティブや多国籍の参加者による会議は、ペースが速い。先を競うように皆が発言し、時には人の言葉を遮りながら激しく意見が飛び交う。そうした、いわば戦場のような会議に臨んでいると、時間稼ぎ言葉を使うことがもどかしくなってくる。議論の内容とは関係ない言葉に、会議が間延びしてしまうような錯覚さえ覚えかねない。
まどろっこしい時間稼ぎ言葉に頼らず、ささっと話し出せる方法はないのだろうか? 実は、とっておきの策がある。
今回は、時間稼ぎ言葉を使わずに、言いたいことの核心に飛び込む「奥の手」を紹介したい。日本の英語教育では全く取り上げないが、現実の会話では普通に使われている用法だ。英語を話す機会の多い人は今すぐ習得してほしい。実践的な練習問題もたっぷり用意した。