「雑談が苦手」「人前で話すのが苦手」「プレゼンで緊張してしまう」――そんなアナタが参考にしたいのが、TBSの井上貴博アナウンサーの著書『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)だ。アナウンサーとして試行錯誤しながら実践してきた52のことを初公開!「地味で華がない」と自認する著者が、情報・報道番組の最前線で培ってきた「伝わらない」が「伝わる」に変わるテクニック。言葉の引き出し・表現のバリエーションが豊かな人と、そうでない人の違いは、いったいどこにあるのか。著者自身が日常的に行っている情報のインプット法について明かす。
※本稿は、
『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

「30代でも老害」「60代でも若い」…自分の老害化を避けるシンプルな方法

年齢を重ねると
生じる労力とは?

【前回】からの続き 自分と異なる世代の人と話す際には、その世代の話題を知ろうとする努力が大切です。

以前の私は、若者文化を斜に構えて見る傾向がありました。「若者にマリトッツォが流行ってるの? ふーん、何がいいんだろうね」。そんな反応がクールだと思っていたフシがあります。

けれども、クールな反応は、ただの時代遅れなのだと反省しました。ある程度、年齢を重ねると、新しい話題を知ることに労力が要るようになってきます。

ラクなほうを選ぶと
自分の可能性を狭める

知らない情報にフタをするのはラクな選択ですが、新しい話題から目を背けていても、自分の可能性を狭めるだけです。ますます新しい世代と価値観が離れていき、やがては時代にとり残されかねません。

それを象徴しているのが、テレビで若者を扱うときの謎の「上から目線」です。

自分より下の世代と
同じ土俵に立つ

コロナ禍では、わざわざ若者が集まりそうな東京・渋谷の街でカメラを回し、「若者の行動の緩み」という論調で伝える報道が目につきました。

上の世代の人が一方的に「最近の若者は……」と決めつけるのはアンフェアですし、逆に若者にひたすらこびるのも間違っています。大切なのは、若者の価値観を知り、同じ土俵に立って話をすることでしょう。

若い人に最新情報を
教えてもらう

若者の価値観を知るには、当事者である若者から直接話を聞くのが一番です。私も番組の若いスタッフから最新のアプリやアニメを教えてもらう機会をつくっています。

アイドルが生ライブをする様子を視聴できるというアプリを入れたり、教えてもらったアニメを片っ端から見たりしています。

あえてのミーハー根性で
流行に積極的に食いつく

もっとも、若いスタッフに「いま流行っていることを教えて」と尋ねると、「私なんかもう古いです。若者じゃないですよ」という返事が返ってきます。

いまの私から見て20代前半のスタッフはれっきとした若者ですが、当の本人には「10代にはついて行けない」という自覚があるのでしょう。若者の価値観を知るのは、一筋縄ではいきません。【次回に続く】

※本稿は、『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。