PHOTO: PHILIP CHEUNG FOR THE WALL STREET JOURNAL
アップルから連絡を受けた時、ジョー・キアニ氏は「夢の提携」になると考えた。キアニ氏は、血中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターを手掛ける米マシモの創業者。自身の技術とウエラブル端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」の相性は完璧に思われた。
だが、アップルはキアニ氏と会ってから程なく、エンジニアや最高医療責任者(CMO)など、マシモの人材を引き抜き始めた。文書によると、アップルは2019年、マシモ元社員の名前で、同社と類似のセンサーの特許を公表した。その翌年、アップルは血中酸素のレベルを測定できるアップルウオッチを発売した。
「アップルがある企業に関心を示せば、それは死の接吻(せっぷん)に等しい」と語るキアニ氏。「最初は有頂天になる。だが後になって、自社で製品を開発してすべて奪うというのがアップルの長期計画であることに気付く」