半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が20日発表した1-3月期(第1四半期)決算は、半導体業界が直面している厳しい見通しを裏付ける内容だった。TSMCの業績不振はまた、半導体工場建設の補助金を巡る米政府との交渉を一層難しくする可能性がある。
半導体の争奪戦は終わりを迎え、実に悪いタイミングで供給過剰に転じてしまった。TSMCは米アップルと米半導体大手エヌビディア向けに製品を供給しており、半導体業界の先行きを占う存在と見なされる。先ごろ米議会で承認された半導体工場建設向けの補助金制度から多額の支援を取り付けようと、同社は米政府と交渉中だ。そうした中、20日発表した1-3月期決算は、米ドルベースの売上高が前年同期比5%減、前期比16%減に沈んだ。
TSMCはアリゾナ州で大規模な半導体工場の建設を計画している。だが、米政府は補助金受給の条件として、工場が予想を超える超過利益を計上した場合は政府と共有するよう求めており、同社は難色を示している。こうした条件は政治的に支持を獲得しやすいが、特に最先端の半導体工場の建設には多額の先行投資が必要になるため、企業にとって業績低迷局面では受け入れにくいものだ。