必要なのは「負担の全世代化」改革、年金支給開始年齢引き上げの議論を早く始めよPhoto:PIXTA

来年の財政検証で議論を
早く始めれば引上げ年齢低くすむ

 政府の公的年金財政検証では、年金財政は今後も維持できるようになっているが、それは、実質賃金の伸び率を非現実的なほど高く想定しているからだ。

 想定するような賃金の伸びは到底実現できないので、保険料収入が見込みほど入らない。それだけでなく、マクロ経済スライドも予定通りには発動できず、年金額の削減も進まない可能性が高い。だから、このままでは年金財政は破綻する可能性が高い。

 破綻を避けるためには、年金支給開始年齢の引上げが必要だ。現在、老齢厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に段階的に引き上げられているが、それでは対応できない。

 政府も年金支給開始年齢の引上げを必要と考えているようだが、完全実施までには時間がかかる。早く始めるほど引上げ年齢が低くすむ可能性があり、来年の年金財政検証の時からでも議論を始めるべきだ。