総予測2023#23Photo:PIXTA

2023年は年金、医療の改革論議が本格化する。24年の財政検証を控え、年金分野では基礎年金の給付水準向上が、医療分野では“かかりつけ医”の導入が焦点となりそうだ。特集『総予測2023』の本稿では、その焦点となる分野について詳説する。

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

2004年改正で導入された給付抑制の
仕組みであるマクロ経済スライド

 2023年は、「年金」も「医療」も政策動向が注目される。「年金」に関しては、5年に1度の財政検証を翌24年に控え、議論が本格化していく見通しである。

 直近の大きな改正は04年改正であった。高齢化が進む中で年金財政を持続可能なものとするため、収入面においては、保険料の17年までの段階的な引き上げ、および、基礎年金財源に占める国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げが決められた。

 支出面においては、年金給付水準の段階的な引き下げを図る仕組みとしてマクロ経済スライドが導入された。マクロ経済スライドを毎年適用することで、当時59.3%であった所得代替率(年金の給付水準を表す指標)を23年には50.2%まで引き下げることが当時のもくろみだった(下図参照)。

次ページ以降、基礎年金の水準が低下し過ぎる見通しとなった理由とかかりつけ医を巡る議論を明らかにする。