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スマートフォンの理想と現実

「ガラケー再興」待望論は根強くあるものの…
作りたくても作れない、製造サイドの事情とは

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第44回】 2013年2月20日
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 一方、中国メーカー側も、フィーチャーフォンの製造には、相応の条件を要求してくるだろう。世界的な需要は、有無を言わさずスマートフォンへ移行している。新興国の低価格端末でさえ、Androidの旧バージョンで駆動する端末が主流となりつつある。スケールメリットを追い求めることで「世界の工場」としての地位を確立した彼らが、日本市場「だけ」を相手にした専用モデル向けに、簡単に生産能力を提供してくれるとは思えない。

 作るのは不可能ではないが、それなりのお値段がかかりますよ――彼らが要求してくる相応の条件とは、そんなところだろう。そしてその要求自体は、日中関係云々とはまったく関係なく、単純に市場原理の観点から、適正であるとも言える。すなわち、よほどの覚悟をもって取り組まない限り、「高かろう悪かろうガラケー」が登場しかねない、ということである。

エコシステムもすでに
舵が切られている

 フィーチャーフォンの基盤を支えるコミュニティも、すでにスマートフォン側へシフトしている。たとえばフィーチャーフォン向けのOSを振り返ると、シンビアンは後ろ盾となったノキアがすでにマイクロソフトとの業務提携によってWindowsPhoneに軸足を移した。それにより、すでに一定の役割を終えた状態にある。

 またLiMo(Linux Mobile)についても、インテルが推進するMeeGoと一昨年に合流しており、現在はさらにそのMeeGoの後継プロジェクトとして、同社とサムスン電子が中心となって推進するスマートフォンOSのTizenへと、歩みを進めている。

 これらのコミュニティが終焉しつつあるということは、すでに十分なメンテナンスがしにくい状況にある、ということを意味する。もちろん、シンビアンはオープンソース化し、LiMoもTizenに吸収されたことで、細々とながらも存命はしている。しかし「細々と」という状況では、そうしたコミュニティの再興によほど注力しない限り、前述のような厳しい消費者からの評価は得られにくいだろう。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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