強気な見通しを脅かすのは
ひそかなネガティブ要因だ
世界が誤った方向に向かい得るとしたら、何によってだろうか?2022年の株式市場の低迷を経て、この問いはわれわれを悩ませる。少なくとも、私は常に悩まされている。
だが、私の悩みは、日本の鉱工業生産の低迷や円安、依然高い世界的インフレなど、既に騒がれてきたことへの懸念ではない。日本銀行の利上げ懸念や、米国の債務上限問題を巡る発言でもない。いずれも、広く注目され過ぎているからだ。
そうではなく、23年に私の強気な相場見通しを脅かすのは、ほぼ誰も想像しないひそかなネガティブ要因だ。株式を下振れ方向のサプライズに陥れそうなものは一見、今のところ特段は見当たらない。だが、状況はすぐに変わり得る。以降で具体的に述べていくのは、注目すべき潜在的なショックの数々だ。
23年序盤のプラスリターンにもかかわらず、大抵の予想者はニュースのヘッドラインを巡る懸念から、依然悲観的だ。輸出の低迷、世界的インフレ、利上げ、利益弱含み、ウクライナ戦争……。しかし、こうした事象に対して悲観的であるべきではない。
効率的な市場は、周知のデータ、意見、ニュースを事前に株価に織り込む――素早く継続的に。それがサプライズ力をそぐ。だからこそ、大きなサプライズが市場を最も動かす。では、そうなり得ることとして、具体的に何が挙げられるだろうか。