中国国家統計局は、2023年第1四半期のGDP成長率を前年比4.5%増と発中国国家統計局は、2023年第1四半期のGDP成長率を前年比4.5%増と発表した 写真:Kevin Frayer/ストリンガー/gettyimages

中国の経済活動再開
世界への恩恵は限定的

 中国の第1四半期GDPは、コンセンサスを上回る前年比4.5%の伸びとなった。先進国が、利上げの効果発現と燻る金融不安を背景に景気後退へ向かう中、世界経済を支える救世主として、中国への期待が自ずと高まる。

 今世紀に入ってから、金融危機など先進国が原因で世界経済が急減速した際には、中国が常に大胆な景気刺激策を打ち、成長加速と輸入の増加を通じて世界経済の回復を助けてきた。景気刺激策で成長率が高まっただけでなく、インフラ投資、不動産投資、企業設備投資といった輸入を誘発し易い経済活動が特に高い伸びを示したことが効いている。

 実際、成長の中身による輸入誘発度の違いを勘案して輸入需要を推計すると、中国当局が大規模な景気刺激策を打った際には、輸入需要がGDPの伸びを上回るペースで伸びるという展開が繰り返されてきた(図表1)。

  ただ、今回の中国における成長回復については、過度の期待は禁物だ。輸入の伸びの回復は、GDPほどに期待できず、世界経済への恩恵はこれまでになく限定的となろう。