トランプ起訴が示す
米国内の分断
3月中旬、コロナ明け初の米国出張としてワシントンDCを訪れた。その際、現地ではトランプ前大統領が自身で「21日に逮捕される」と発信したことが話題になっていたが、筆者のみならず現地のスタッフも話半分として聞き流していた。ところが、ニューヨーク州の大陪審が3月30日、トランプ前大統領を起訴、それが半ば現実となった。
メディアの報道によると、起訴の罪状は34件の書類改ざんであり、スキャンダルの口止め料支払いが罪に問われたわけではないが、それを公表しないことが選挙資金法違反にあたり、そのための改ざんは「重大な」犯罪行為だと検察は指摘している。
有罪になった場合でも、改ざんまでなら罰金刑で済むが、「重大な」犯罪となれば禁固刑となる。ただ、専門家の間では罰金刑で済むとの見方が大勢であり、トランプ支持者はむしろ結束を強めているともいわれている。詰まるところ大統領選挙への影響は限定的であろう。
このようなトランプ前大統領を巡る世論の対立は、現在、米国で最も深刻な問題とされる「分断」の象徴的な出来事の一つと言える。これから来年11月5日にかけて大統領選が本格化するにつれて、そのような出来事が増えていくのかもしれない。