米半導体大手インテルがどん底に落ちるのは見られたものではないが、それでも歓迎すべきことだ。インテルの1-3月期(第1四半期)決算は、「懸念されていたよりも良好」という概念を新たな次元に押し上げるものだった。売上高は前年同期比36%減となり、四半期ベースの減収率としては、少なくともS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータをさかのぼることができる1990年代初め以降で最悪だ。営業損失も15億ドル(約2045億円)近くに達し、同じく90年代初め以降で記録的な水準となった。さらに、データセンター部門は初の赤字に転落。同部門は20年1-3月期には営業利益率50%をたたき出していた。それでも1-3月期決算の内容はウォール街の予想を上回り、全体の売上高も3カ月前に発表した厳しい会社予想をわずかに上回った。これを追い風に、4月28日の米株式市場で同社株は前日比4%高で取引を終了。朝方は9%近く上昇する場面もあった。もっとも同社株には出遅れ感が強まっていた。過去2年間でインテルの時価総額は激減したが、その背景には同社が最先端の半導体製造技術で再び優位に立つことを目指すと同時に、他社が設計した半導体を製造するファウンドリー(受託製造)事業への参入に向け、高額でリスクの高い再建計画に着手したことがある。27日の決算発表までに過去12カ月間で株価は30%以上も下落していた。ファクトセットによると、これは時価総額が1000億ドルを超えるハイテク企業の中で最悪のパフォーマンスだ。