「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】子どもが「便秘」になったら、最優先で取り入れたい3つの基本Photo: Adobe Stock

便秘対策の基本は「水分、運動、食物繊維」と覚えましょう

 便秘対策の基本は、
 ●水分
 ●運動
 ●食物繊維
 の3セット。まず、これらが足りているかを確認して、不足しているようならしっかりと補います。

 6歳なら1日に1.5~2リットルの水分を、食事・飲み物の両方から摂取する必要があります。子どもは自分では喉が渇いたと自覚しないことも多いので、休み時間ごとにしっかり3口ほど飲むクセをつけるのもよいでしょう。

 私たちのカラダでは、腸管が蠕動(ぜんどう)運動をすることで食べたもののカスが動き、便となって出ていきます。カラダを動かすことも腸を刺激して蠕動運動につながるので、運動不足は便秘の原因になります。

 また、食べ物のカサ(量、重さ)も便秘対策にとても重要で、しっかりと、ある程度の量、重さのものを食べることも大事です。小食だと腸への刺激が少なすぎて、腸が動かずに便秘になることも多いのです。

 食物繊維は、雑穀やごぼうなどの根菜、海藻などを毎日食べられているか確認しましょう。海藻なら、味のりを好む子どもも多いですね。日本では子どもも大人も、毎日摂取すべき食物繊維の量がほぼ足りていません。心して摂りましょう。

なかなか改善しない場合は、医師に相談しましょう

 水分、運動、食物繊維を見直しつつ、整腸剤(プロバイオティクス)を摂ることも大切です。なかなか改善しない場合は、医師に相談して処方してもらいましょう。

 一般的に保険で小児に処方される便秘薬には、整腸剤(プロバイオティクス)や漢方薬以外に、ラクツロース製剤(モニラック)とポリエチレングリコール製剤(モビコール・2歳以上)があります。これらは体内にほとんど吸収されないので、長期の服用になっても親として抵抗がないと思います。

 便秘の状態によって、出口(肛門)付近で栓のように詰まってしまっている場合は、先に浣腸などでその糞便の栓を取り除きます。

腸内環境を整えるには、規則正しい食事時間が大事

 何時に食事をするかは、私たちの腸内細菌にとても大きな影響を与えます。夏休みや年末年始、旅行のときなど、食事の時間がずれやすいときでも、できるだけいつもと同じ時間に食べられるとよいです。とくに最近の小学生、中学生は塾で帰宅が遅くなって夕食のタイミングがとても遅い子がいます。確実に腸内フローラが乱れてゆき、それが脳にも影響するので、何とか工夫をしたいものですね。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)