中国株の低調、景気回復への懸念を反映Photo:Hugo Hu/gettyimages

 今年の世界市場に関する謎の一つは、中国の経済は力強く回復しているようだが株式市場はいまひとつなことだ。

 MSCI中国指数は年初来わずか1.8%の上昇にとどまり、多くの主要市場をアンダーパフォームしている。例えば、S&P500種指数は7.7%上昇している。上海証券取引所と深セン証券取引所の上場株は多少ましだ。両取引所に上場しているA株300銘柄で構成されるCSI300指数は年初来で4.9%高となっている。新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の昨年末の解除やIT(情報技術)企業に対する規制強化の縮小を受け、大きく盛り返している景気とは対照的に見える。

 中国の1-3月期(第1四半期)国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増となった。さらに重要なのは、消費も力強く回復していることだ。3月の小売売上高は前年同期比10%強の増加となった。5月初めの「黄金周(ゴールデンウィーク)」と呼ばれる5連休は、中国各地の観光地に人があふれていた。公式統計によると、連休中の国内旅行者数は2019年同期と比較して19%増加。観光収入もコロナ前の水準を取り戻した。