米債務上限問題、合意はインフレ緩和に役立つかFRBは3日、0.25ポイントの利上げを決めた
PHOTO: ERIC LEE FOR THE WALL STREET JOURNAL

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、根強いインフレと脆弱(ぜいじゃく)な銀行という問題を抱えている。連邦議会とジョー・バイデン大統領には、連邦政府の借入限度額の引き上げが不可欠となる期限が迫っているという問題がある。

 この全ての問題に一度に対処する方法があるかもしれない。

 理由は次のようなものだ。銀行は金利の上昇で苦境に陥っている。金利が上昇したのはインフレが高水準にあるためで、インフレ率が高過ぎるのは需要が旺盛なことが要因だ。需要を沈静化するには、連邦政府が歳出を削減するのが一つの方法となる。図らずもこれは、下院で過半数を占める共和党が、31兆4000億ドル(約4240兆円)となっている連邦政府の借入上限の引き上げを認める代わりに要求していることだ。

 バイデン氏は幾つかの理由で、共和党に協力したくないと考えている。国債の利払いから社会保障費の給付に至るまで、議会が既に承認した義務を財務省が果たすためには、債務上限を引き上げなければならない。同氏は信条として、こうした義務に関してデフォルト(債務不履行)をちらつかせることは、政情が不安定で治安の悪い小国「バナナ共和国」が取るような行動だと考えている。ジェローム・パウエルFRB議長も同意しているが、問題の原因を名指ししてはいない。同氏は3日、記者団に対し、「米国が支払いを行わない世界について話すべきではない」と述べた。