テレビの現場で実際にあったプロデューサーとのやりとり

 私が若手のころに次のような会話がありました。

プロデューサー 「本多ちゃん、このアイデアどう思う?」
 「……」
プロデューサー 「なんもないんかいな!?」

 このツッコミが入ったら基本的にタイムオーバーです。ですから、

プロデューサー 「本多ちゃん、このアイデアどう思う?」
 「そうですね……」(すぐに反応する)

 この「そうですね」の5文字からが考える時間を稼ぐテクニックのスタートです。「そうですね」の5文字のあいだに次に出す言葉を考えます。

 ですが、そう簡単に出てくるはずもないので、次は「僕が思うには」の8文字、合わせて13文字の時間を稼ぎます。さらに「おっしゃることはわかるのですが」の15文字を足すと、合計すると28文字になり、ゆっくり話せば、時間にして7~10秒稼ぐことができます。言っている言葉にこれといった意味はありませんが、沈黙の時間が消え、コミュニケーションを取りながら考える時間をつくることができます。

 くだらないことと思うかもしれませんがこの数秒があるだけで、自分が相手の話を聞いていたことも伝わります。些細なことですが、効果は絶大です。今出した例以外にも「すごくいいですね」や「お気持ちはわかります」など、自分の意見を伝えつつ時間を稼ぐ言葉はいくつもあります。

 テレビに出はじめの芸人たちは皆、緊張のなかでもなんとか考える時間を稼ぎながら成長していきます。皆さんもなんとか考える時間をつくりたいときに実践してみてください。必ず役立ちます!