守勢ソフトバンクG、テック企業の売り手にPhoto:Yuichi Yamazaki/gettyimages

 巨額損失を出すことほど気が引き締まるものはない。ソフトバンクグループ(SBG)はテック企業の大口の買い手として知られているが、市場が不安定さを増す中、最近は売り手に転じて守勢に回っている。

 SBGは2023年3月期に純損益が72億ドル(9701億円)の赤字となった。赤字幅は前期のほぼ半分に縮小したが、中国電子商取引大手アリババグループの株式売却益(320億ドル)によるところが大きい。保有するアリババ株は、同株を利用した調達を加味したベースで、前期の390億ドル相当からわずか約50億ドル相当にしぼんだ。

 問題の根幹はソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)だ。23年3月期はSVF事業からの投資損失が400億ドル近くに上った。今年に入りテック株が値上がりしたため、1-3月期は損失が縮小したものの、10兆円規模のSVF1と後継のSVF2を運用するSVF事業は5四半期連続で赤字に沈んだ。17年の立ち上げからの累計投資損失は85億ドルに上る。