いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。

【プロダクトデザイナーが語る】「自然と機嫌がいいものに囲まれる」たったひとつの哲学Photo: Adobe Stock

自分で責任を持って選ぶと、機嫌のいい空間ができる

─無造作なようで、実はこだわって選んでいる。その選択眼の持ち方についても伺いたいです。

デザインに関しても同じ考えなのですが、わたしが好んで選ぶのは「余計なことをしていないもの」。これに尽きると思います。

ロングセラーとは、「研ぎ澄まされた普通」でないといけない。

日常で使う道具も、決してやり過ぎていない、ちょうどいいものを選んでいます。

見つけるための手間は惜しみません。

─今は買い物の仕方もどんどん効率化しようという流れがありますが、秋田さんは「見つけるための手間は惜しまない」と。たとえばどのように?

見つけるまでのプロセスで起きる出来事そのものや、自分の直感を面白がっているのかもしれないですね。

とくに身につけるものは、こだわって選びます。

今日穿いているジーパンもそうですし、シャツも、メガネも、さらっと身につけているようで、全部吟味して買ってきたものです。

今は、ネット上ですべて完結するコンシェルジュのようなサービスもあるようですが、わたしは自分で選ぶ行動が好きです。

流行も情報としてはチェックしますが、「流行っているから買おう」とは思いません。

買った後で、流行っていたと知ることはよくありますが。

─あくまで主体的であろうとするのですね。

そう。「自分オリエンテッド」です。

自分で責任を持って選んだものに囲まれると、自然と気に入った空間になります。

誰かに代わりに選んでもらうのは、短期的にはラクになるのかもしれませんが、もしもうまくいかなくなったら、その人に責任転嫁しそうではないですか。

自分で選べば、すべて責任を引き受けられる。

誰かにぶつぶつといいたくなる気持ちは生まれないから健康的です。

(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)