NISAのイメージ写真Photo:PIXTA

2024年から新制度がスタートする、いわゆる「新NISA」の顧客争奪戦が金融業界でもう始まっている。金融機関側の思惑をお伝えするとともに、この「お得」な新NISAの波に乗り遅れないために投資家が今すべきことを解説しよう。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

新NISAの顧客獲得競争が
始まっている

 2024年から、現行の一般NISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISAよりも大幅に規模が拡大されて、便利にもなる新NISAが始まる。そして金融機関の間では、新NISAの顧客獲得競争が既に始まっているという。

 背景はこうだ。新NISAは、既存のNISAの利用とは関係なく利用することができる。つまり、今年始めた一般NISA、つみたてNISAでの投資は、将来利用する新NISAとは別に期限まで税制優遇措置を使うことができる。そして、現在NISA口座を持っている顧客は、変更手続きを行わなければ同じ金融機関で新NISA口座を開設することになる。

 金融機関側からすると、「今年のNISAでの投資は、新NISAとは別にそのまま持ち越すことができるので大変お得です」と説明しながらNISA口座を獲得して、そのまま新NISAの顧客にすることを狙える。

 顧客の側から見ると、「お得」なのは事実だ。また、新NISAの利用に当たって金融機関を変更することは可能なのだが、手続きが面倒だと感じるのが現実だろう。金融機関の営業方針には一理ある。新NISAの口座獲得競争に参加するなら、今の時点から顧客に働きかけることは合理的だ。