投資方針で考えるべきことと
あれこれ考えなくていいこと

 投資方針は、成長投資枠で個別株式への投資を行うか否かが問題だ。おそらく、新NISA利用者全体の1割に満たないのではないかと推測するが、「趣味としての株式投資と資産形成を兼ねて」自分で個別株のポートフォリオを作る投資方針は「あり」だろう。ただし、インデックスファンドへの投資に大きく劣らないポートフォリオを自分で作るのはそう簡単な作業ではないと申し上げておく(だからこそ、「趣味」になり得るのだが)。

 個別株投資を行おうとする人は、最初からそこそこに分散投資ができていて、将来「売る」必要ができるだけ生じない銘柄の選択と投資ウェイトの決定をあらかじめ行っておく必要がある。日本株の個別株投資で大きな制約になっていた、銘柄によっては最低単元でも大きな投資金額を要するという問題については、例えば楽天証券では473銘柄の国内株式を対象に1株単位の取引を可能にするサービスを既に始めている。ただし、繰り返すが、個人投資家が上手な分散投資を行うことは容易ではないと筆者は実感している。

 成長投資枠でアクティブファンドを選ぶのがいいか否かについては、既に結論が出ているので、あれこれ考えること自体が賢くない。現状の信託報酬率の差があれば、インデックスファンドに対してアクティブファンドを選ぶことができる合理的な根拠はない。「ファンクラブ」「推し」的な感覚でファンドを選ぶのは個々の投資家の勝手だが、純粋に投資の意思決定として考えた場合には、ばかばかしいと言うしかない。

 一般論として、米国株式単独、日本株単独のような投資よりも世界株式のインデックスファンドが優れていることについても、あれこれ悩む必要はない。

 今回詳細は省くが、いずれも偏った投資(つまりアクティブ投資)よりも平均に投資することが有利である「平均投資優位の原則」とでも言うべき頑健な原理に支えられた結論だ。

 ただし、現状の「全世界株式のインデックスファンド」にも、「純粋な平均投資」と比較して考えた場合に、幾つか欠点があることは申し添えておく。だが、いずれも普通の個人投資家にとっては大きく問題にすべきスケールの論点ではない。投資家は、あまりに「細かい人」になるのも生産的ではない。