G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)が5月21日、閉幕した。ウクライナのゼレンスキー大統領が来日し、全世界が注目する大舞台となった。首脳たちはSNS発信に余念がなく、イギリスのスナク首相の赤い靴下など、ファッション関連の話題にも事欠かなかったサミットといえよう。本稿では、各国のリーダーたちの「スーツ」に独自に着目した。東京・銀座のテーラーによる「スーツの国際政治学 G7サミット編」をお届けする。(ヴェスタ・バイ・ジョンフォード ゼネラルマネージャー 北川美雪)
G7首脳間でも
年齢で異なるスーツのスタイル
国際情勢やビジネス環境は、目まぐるしく変わっています。それに伴い、フォーマルな装いも変化しているといわれています。世界の政治指導者が一堂に会するG7サミット、各国首脳は果たして、どのようなスーツスタイルで挑んだのでしょうか。
国際会議での首脳の着こなしほど、現代のフォーマルスタイルを表す機会はないでしょう。この度のG7広島サミットで最も印象的だったのは、年齢(のグループ)に応じたスーツのスタイリングが顕著に見られたことです。40代から50代前半の若手フレッシュ組と、60代から80代のベテラン組に大きく分かれたといえます。それぞれの良さについて説明します。
上の写真をご覧ください。フレッシュ組の楽しそうな一コマは、厳島神社の様子です。左からイタリアのメローニ首相、イギリスのスナク首相、そして、フランスのマクロン大統領。3者とも重すぎないスタイリングで、そのキモは、ナローラペルのジャケットにあります。ナローラペルとは、一言で言うと、細い上着の襟のことです。「仕事終わりに、飲み直そうか?」なんて会話が聞こえてきそうなフレンドリーさで、山積する政治課題も和気あいあいと解決できそうです。
対して、こちらはベテラン組の2トップ、われらが岸田文雄首相とアメリカのバイデン大統領です。伝統的な太めのラペル幅ジャケットと、ポイント長めのシャツの襟。両者とも、旧来の政治家然とした装いで安定感はピカイチ、これなら安心して日米関係を任せられそうな予感がいたします。