1冊のノートに記録をまとめる
対策としてオススメしたいのは、簡単な帳簿を作成することです。
親から通帳の管理を任された場合は「①現金でいつ、いくら引き出したか、②その現金を何に使ったか」を記録に残しておくのです。本当に簡単な形で良いと思います。
例えば、1冊のノートを買い、左側のページに現金引き出しの日付、金額、使い道をメモし、右側のページにレシートを糊やホチキスで貼っておく。これくらい簡単な形でも、横領をしていないことの立証には十分な効果を発揮します。
また、相続が発生する前から、お盆や正月等の家族が集まったときに、「お母さんの預金はこんな感じで記録をつけて管理しているからね」と、家族に伝えておけば、他の相続人も安心ですし、献身的に介護をしてくれていることに感謝の気持ちも増すでしょう。
現金の使い道は不明瞭になりがちです。簡単な形でも良いので帳簿を作成し、使い道をはっきりさせることによって、大きなトラブルを防ぐことができます。
「過去の繰越済みの通帳は既に処分してしまいました」という方もたくさんいると思いますが、銀行に依頼すれば過去の取引記録をもらうことができます。
ちなみに、相続発生後であれば、相続人は亡くなった方の過去の預金の取引記録(最長10年分)を、単独で銀行から取り寄せることができます(他の相続人の同意は必要ありません)。そのため、「通帳さえ処分してしまえば、過去のことは誤魔化せるわ」という考えは、決して持たないようにしましょう。いずれにしても、相続争いを起こさないために、親の通帳の管理を任された際には、細心の注意を払いましょう。
(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋・追加加筆したものです)