新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
牛丼は続々値上げ
すき家は牛丼以外も好調
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は2022年11月~23年3月期の直近四半期(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは23年1~3月、吉野家ホールディングスは22年12~23年2月)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ゼンショーホールディングス(すき家)
増収率:21.4%(四半期の売上高2007億円)
・吉野家ホールディングス
増収率:8.1%(四半期の売上高434億円)
・松屋フーズホールディングス
増収率: 14.6%(四半期の売上高277億円)
牛丼3社全てが増収で、中でもゼンショーホールディングスが増収率21.4%という大幅増収だった。また、23年3月期の営業利益が11年ぶりに過去最高を更新するなど絶好調だ。同社はハンバーガーチェーン「ロッテリア」の買収にも踏み切り、23年4月に全株式を取得した。今期(24年3月期)はさらなる業績の伸長が期待されている。
外食業界はコロナ禍による行動制限緩和の影響を受けて、急速に客足が回復しつつあり、今、勢いに乗っている。しかし、原材料費や光熱費などの高騰の影響を受けていて、昨年から各社、値上げに踏み切ってきた。それらの影響は今どうなっているのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、それらを詳しく解説する。