いきなりステーキPhoto:Diamond

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は王将フードサービス、コメダホールディングスなどの「専門飲食店」(中華料理・カフェ・定食など)業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

5社がそろって増収達成も
利益面で明暗分かれる

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「専門飲食店」(中華料理・カフェ・定食など)業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月の四半期(コメダホールディングスとハイデイ日高は22年12月~23年2月期、その他3社は23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・王将フードサービス
 増収率:8.8%(四半期の売上高240億円)
・コメダホールディングス
 増収率:18.7%(四半期の売上収益103億円)
・ハイデイ日高
 増収率:34.0%(四半期の売上高106億円)
・大戸屋ホールディングス
 増収率:25.5%(四半期の売上高64億円)
・ペッパーフードサービス
 増収率:2.2%(四半期の売上高36億円)

「専門飲食店」業界では、5社がそろって増収を果たした。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う大減収からの反動増や、原材料価格の高騰を踏まえた値上げの影響には注意が必要だが、各社の売り上げが復調しているのは確かなようだ。

 だが、利益面に目を向けると、それとは異なる構図が見えてくる。

 ペッパーフードサービスが、5社の四半期決算の中で唯一の最終赤字に沈んでいるのだ。同社の決算短信には、経営危機に陥っていることを示す「疑義注記」が引き続き記されている。

 同社が運営するいきなり!ステーキは、上質な肉を「低価格・高回転率」で提供するビジネスモデルで人気を博したが、過剰な出店があだとなり急失速。22年8月には業績不振の責任を取って一瀬邦夫氏が社長を辞任し、後任として長男の一瀬健作氏が副社長から昇格した。

 現在は新社長の下で、不採算店舗の閉店をはじめとする構造改革を進めている段階だ。その結果、23年3月時点でのいきなり!ステーキの国内店舗数は203店と、不振が顕在化し始めた19年3月の水準(433店)から半分以下に減少している。

 だがそれでも、ペッパーフードサービスの業績はまだ完全復活には程遠いといえる。

 そうした中、かつて一世を風靡(ふうび)した「いきなり!ステーキ」事業は、現在どのような状況にあるのか。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、ペッパーフードサービスの業績について詳しく解説する。