さらに、従業員全員が自身のスキルの状態や今後の課題を把握し、スキルアップの指標となる「スキルマップ」も作成。やりがい向上につなげていくとともに個人のスキルの多能工化を推進。誰が欠けても業務が滞ることのない「バックアップ体制」を構築した。
二つ目が情報共有の仕組みの構築だ。部門間のコミュニケーション不足はトラブルにつながりやすい。そこで、「お客さまとの打ち合わせは、必ず営業と製造担当がペアで対応するようにしました」(木村氏)。
毎朝、会社全体で行う連絡ミーティング、月1回の定例全体ミーティングを開催し、密に情報を連携。他部署の仕事も人ごととせず、問題が発生したら全員で対応を考える企業風土を醸成する。
自社製品も立ち上げ
“足立ブランド”を発信
三つ目として取引先と共存共栄関係の構築をうたう「パートナーシップ構築宣言」を21年に会社として宣言。価格の適正化や納期の調整などの交渉事は常に顧客や協力企業との共存共栄を念頭に公正に行い、結果的に業績向上につながっていく。
さらに、自社の品質維持のための項目を網羅した「品質マニュアル」を作成し、自社の掲げる品質方針にのっとった業務の遂行が徹底されるようになった。
●ジャパンフィルター株式会社 事業内容/金網フィルター・ストレーナーを中心とする産業用金網加工製品の製造、従業員数/11人、売上高/2億円(2022年度)、所在地/東京都足立区大谷田4‐16‐9、電話/03‐3606‐1161、URL/japan-filter.co.jp
こうした取り組みの積み重ねを経て、会社を挙げてISO認証取得を目指すことを決意。全従業員が一致団結して取り組むことで、21年、品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO9001」を認証取得する。ISO認証の看板を得て、「会社としてさらなる一体感と誇りが生まれ、既存顧客からの新たな注文や相談増加といった効果にもつながっている気がします」と木村氏。足立区によりワーク・ライフ・バランス推進企業として最高ランクに認定され、働きやすい環境も実現した。
加工技術を生かしたBtoC商品のための自社ブランド「LOKA」も立ち上げ、「自分を経営者として育ててくれた『ものづくりの街・足立』に根付く会社として“足立ブランド”を盛り上げ、微力でもMade in Japanの誇りに貢献していきたいです」と木村氏。新たな自社製品の登場にも期待したい。
(「しんきん経営情報」2023年6月号掲載)