組織変革の積み重ねを経てISO認証取得、品質向上と働きやすい職場を実現

最小で2mmという米粒のような金網フィルターを手がけ、図面公差(寸法ずれ)はわずか0.05mmと精密繊細な機械操作技術を誇る。2000超の製造事業者が位置し、「ものづくりの街」といわれる東京都足立区で、金網加工に特化した高い技術力で顧客の支持を集める企業がある。ジャパンフィルターだ。(取材・文/大沢玲子)

 1974年、自動車噴射ポンプ用の金網フィルターの製造からスタート。自動車、建設機械、農業機器、医療機器、工場プラントなど産業部品向けの金網フィルターを中心に、幅広い金網製品を扱う。

組織変革の積み重ねを経てISO認証取得、品質向上と働きやすい職場を実現代表取締役・木村真有子氏

 標ぼうするのはずばり、「できませんとはいわない会社」。「図面の有無にかかわらず、お客さまとの入念な打ち合わせを重ね、ご要望に沿った製品加工に注力しています」と、同社代表取締役の木村真有子氏。製品加工は1個から、試作や改良などの相談にも柔軟に対応している。

 まさに、長年培ってきた職人技の賜物だが、その技術が途絶えることなく継承され、堅調な業績を維持してきた背景には、2代目社長の木村氏が地道に行ってきた組織変革がある。

理想の会社の姿を追求
技術継承、情報共有促進

 2007年、異業種から家業に飛び込み、16年、社長に就任した木村氏は、当時を、「組織が“一人親方”の集まりのような状態で、技術の継承も体系化されておらず業務が属人的になっていました」と振り返る。コンプライアンスが徹底されておらず、対外的な取引条件が適正でないケースも散見されたという。

 技術力があっても、このままでは早晩、会社として立ち行かなくなると考えた木村氏。「『安心・やりがい・誇り』を持って働けるチームをつくろうと宣言し、粘り強く改革を進めていきました」。

 その一つが技術の見える化と共有だ。従業員全員にヒアリングを行い、技術の一つ一つ、すべての製品の製造プロセスの見える化を実践。「社内工程表」および、技術の入門書として「自社マニュアル」を作成し、技術の標準化を実現する。