新入社員や若手社員に限らず、すべての人たちのお悩みナンバー1は「人間関係」です。
特に「苦手な人との関わり方」に悩んでいる人はたくさんいます。
学校や地域コミュニティでも、同様の悩みを抱えているケースは多く、「どうしても避けられない人間関係をどう処理すればいいか」みなさん困っています。
そこで、30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、「苦手な人となるべく関わらない方法」について伺いました。
(編集/和田史子)

書籍『20代が仕事で大切にしたいこと』の著者が教える、苦手な人となるべく関わらない方法とはPhoto: Adobe Stock

人付き合いは「自分の感情に素直」で

仕事で大切なことの1つに、無理せず「自然体」で自分らしくというものがあります(参考記事)。

長い人生を考えると、本当に大切なのはストレスなく継続できることです。
そのためには「無理をしない」やり方を常に選択し、行動することが必要です。
また、本来の自分のままでいることで、パフォーマンスも最大限に発揮できます。
「自分らしく」というのは、最も成果が出る状態でもあります。

それゆえ、「仕事だし、苦手な人とも嫌々、やりとりを続けなければならない」なんてことはありません。
自分の感情に素直に接しましょう。何事も自然体が大切です。

無理して平静を装ったところで、相手も人間。
「この人、無理して自分と付き合っているな」となんとなく気づくものです。
お互いに嫌な気分で関わり続けるくらいなら、自分の感情に素直に「好き」「嫌い」を持ち、嫌いな人がいたらその人となるべく直接関わらずに仕事を進める方法を模索してもいいと考えます。

苦手な人となるべく直接関わらずに仕事を進める方法を模索してもいいPhoto: Adobe Stock

関わらなくていい…と、いかない場合は?

私は経営者として、年少の部類に入ります。
仕事で関わる社長の方たちはみなさん年上です。それ自体は特に気にならないのですが、中には「年齢の上下」をそのまま「仕事におけるパワーバランスの上下」へと過剰に結びつけたがる方もいます。そのような方は正直、あまり得意ではありません。

ただ、私も経営者ですから、取引先の社長さんがちょっと苦手だからといって、「あの会社とは付き合わない」と絶縁するわけにもいきません。それではただの、わがままです。
とはいえ、ちょっと苦手なものはちょっと苦手です。

そこで私は、仕事における綿密なやりとりは周りの方(秘書や役員など)とするようにし、社長さんとはあいさつ程度のお付き合いに留めるよう工夫しています。すると、極力気持ちをすり減らさずに、スムーズに仕事を進めることができます。
相手(の社長さん)からしても、そのほうがストレスはありません。

みなさんも、ちょっと苦手な相手とは、

・できるだけ距離を置いて、なるべく直接関わらないようにする
・その人の上司やスタッフの方など、第三者を介してやりとりする
(コミュニティの中で比較的に話しやすい人などでもOK)

というやり方を考えてみましょう。

ちょっと苦手な相手とは第三者を介してやりとりするのも手Photo: Adobe Stock

「気の合う人」とは、とことん仲良く

一方で、気の合う人とはとことん仲良くなります。
経験上、「友だちとしても仲良くなれそうだな」と好印象を持った人との関係はやはり長続きしますし、いい仕事につながります。実際にプライベートで会って、より交流が深まることもあります。

「仕事だから、好き嫌いを言わずに仲良くしなきゃ」と考える必要も、逆に「ビジネスのお付き合いだから、公私混同してあまり仲良くなりすぎないようにしなきゃ」とも考える必要もないのです。
自分の気持ちに素直に、まっすぐに目の前の人と接してみましょう。

気の合う人とは仲良くPhoto: Adobe Stock

ただし、気をつけなければいけないポイントもあります。
あまりにも自分の気持ちに素直に、まっすぐに人と接してしまっては、ともすればただの「自分勝手な人」になりかねないということです。「他者想」を忘れてはいけません。

他者想とは「他者への想像力」の略で、自分以外の誰かを想像し、

「どうすれば喜んでもらえるだろう」
「どうすれば役に立つのだろう」
「どうすれば気持ちよく動いてくれるのだろう」

と考えて行動すること。
同時に、

「何をすると嫌がるのだろう」
「何をすると困るのだろう」
「どんなふうに言うと不快な気持ちになるのだろう」

といった「相手にとってのネガティブ」も考え、そういった行動をしないこと。
これらを「他者想」と呼んでいます(参考記事)。

自分の素直な感情に耳を傾けつつ、「他者想」を持つ。
すると「自分を大事にする心」「相手を大事にする心」のバランスがとれ、自然体で人と接することができるようになります。

(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。