20代の若手社員よりもベテラン社員のほうが、無意識のうちに自分のペースで仕事を進めてしまいがちです。慣れもあって「これでいいだろう」という思い込みで動いてしまうことも…。
しかし、ビジネスには決まりきった「たった一つの正解」はありません。状況や相手によって正解は異なります。
それゆえ、常に他者への想像力(他者想)を働かせることが仕事をする上では重要です。
30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、若手もベテラン社員も激変する「絶対に身につけたい」能力について伺いました。
(編集/和田史子)

「他者想」(他者への想像力)でベテラン社員も変わるPhoto: Adobe Stock

ベテラン社員も「他者想」で変わる

他者への想像力は、BtoBであればクライアントやお取引先の方、BtoCであればお客様やこれからお客様になってくれる方、社内であれば上司や先輩、同僚、スタッフの方などに対して活きる能力。とても万能な武器です。
私の会社では「他者想」と略され、常に「他者への想像力」を確認する会話が繰り広げられています。
「その新サービスの告知文、『他者想』的にはどうなのだろう?」
「うーん、新規のお客様には伝わりにくいかもしれませんね」

こんなふうに、日常的に使われています。

あるベテラン社会人の方も、「『他者想』で仕事をするようになってから、上司や部下との関係が劇的に変わり、人間関係のゴタゴタも減りました」と話してくれました。
「他者への想像力」は、ベテランでも抜けがちな視点なのです。

では「他者への想像力」とは何か、より具体的にお話ししたいと思います。
他者とは、「自分以外の誰か」のことです。
お客様はもちろんのこと、取引先の方や仕事で接する方、一番身近なところでいえば、社内の人、上司や同僚、派遣スタッフの人など、一緒に仕事をしている仲間全員です。

こうした「仕事に関わるすべての人」に対し、
「どうすれば喜んでもらえるだろう」
「どうすれば役に立つのだろう」
「どうすれば気持ちよく動いてくれるのだろう」

と考えて行動すること。
同時に、
「何をすると嫌がるのだろう」
「何をすると困るのだろう」
「どんなふうに言うと不快な気持ちになるのだろう」

といった「相手にとってのネガティブ」も考え、そういった行動をしないこと。
これが「他者への想像力」をもって仕事をするということです。

仕事をする中で、あらゆる場面で「他者想」を使ってみてください。
あなたの言動はもちろんですが、相手との関係も、劇的に変わります。
むしろ、あなた自身は変わっていないのに、相手の態度が激変したように感じるは
ずです。これまでなかなか前に進まなかった案件が急に前に進んだり、苦手だった上
司が急に優しくなったり……。
「他者想」を使うだけで、あなたの味方、あなたの応援者が増えるからです。
やらなきゃ損だと思って、些細なことから始めてみましょう。

※この連載では、20代のみなさんが仕事をする上で知っておいたほうがいいことをお伝えします。
(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)

飯塚勇太(いいづか・ゆうた)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。