「ジャニーズ逃げ切り」許せば、社会の不祥事を追及する資格なし

 ジャニーズ事務所は完全に「逃げ切り」の体制に入っている。

 これから「文春」「新潮」などの追撃、海外メディアの調査報道もあるだろうが、とりあえず再発防止策もやったし、テレビや新聞さえ騒がなければ、どうにか「収束」できると思っているはずだ。

 そして、今のままではおそらくそうなるだろう。なんやかんやいっても、日本ではまだマスコミの世論誘導力が健在だからだ。

 このような形で、「ジャニーズ危機管理」の成功例ができるということは、不祥事企業にとってはありがたいこと、この上ない。会見もせず、第三者会見もしなくても、社内にそれっぽい「被害者窓口」や「外部の専門家のなんちゃって調査」みたいなことをやれば、マスコミがそこまで攻撃できないという「悪しき前例」をつくってしまったのだ。

 それがダメだというのならば、「じゃあ、ジャニーズの時はなんだったの?なんで藤島ジュリー景子社長は会見なしでもOKなの?」という特大ブーメランがマスコミ各社の脳天に突き刺さってしまう。

 こういうジレンマを招いたテレビや新聞には、もはや企業や政治家の不祥事を追及する資格はないのではないか、と個人的には思っている。

 魚は頭から腐るという有名なことわざがある。もし日本社会が腐っているとしたら、それは「マスコミ」から腐っているからではないか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)