G7共同声明に含まれていた
「中国へのラブレター」

 対するG7の共同声明には、気になる部分がいくつかあった。これも全文が掲載されている外務省HPから引用したい。チベット新疆ウイグル、香港などの人権状況への懸念、東シナ海、台湾海峡での軍事的緊張への懸念を表明しつつも、中国の手を借りて、経済発展、そして何よりも大事なウクライナ戦争の早期終結を願う文言が並んでいる。

「我々は、中国に率直に関与し、我々の懸念を中国に直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある」

「我々の政策方針は、中国を害することを目的としておらず、中国の経済的進歩及び発展を妨げようともしていない」

「我々は、中国に対し、ロシアが軍事的侵略を停止し、即時に、完全に、かつ無条件に軍隊をウクライナから撤退させるよう圧力をかけることを求める。我々は、中国に対し、ウクライナとの直接対話を通じることも含め、領土一体性及び国連憲章の原則及び目的に基づく包括的、公正かつ永続的な平和を支持するよう促す」

 三つ目の引用については、特に今回加わった部分でもあり、中国へのラブレターにも似たメッセージとなっている。ロシアと仲が良いものの、そこまで肩入れせず、ウクライナとも良好な関係を続ける中国に何とか仲裁に入ってもらえないものかという、すがるような思いが込められているのだろう。

 しかし、ちょっと待ってほしい。経済的にも軍事的にも日本の最大のライバルは中国なのである。世界は仲良くなった方がいい、隣人同士手を結んだ方がいいというのは一般論であり、中国に西側諸国がお願いをするような現在の状況は、日本軽視、そして無視につながりかねない危険な状態であることは確認されるべきだろう。