誰よりも多く営業メールを送っているのに、なかなか受注に繋がらない。クライアントの返信率が悪い。一方で、すぐに新しい案件を獲得し、どんどん売上を立てる人もいます。「頭のいい人」は、いったいどんなふうにメールを送っているのでしょう。「読み終わった後、この本に出会ってなかった人生を想像するとゾッとする」と話題沸騰中の書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者である安達裕哉さんは、「頭のいい人」と「そうでない人」のメールには決定的な違いがあるといいます。
今回は、コンサルで得た知見を凝縮し、だれでも「頭のいい人」になれる方法を記した一冊『頭のいい人が話す前に考えていること』の20万部突破を記念して、安達さんに特別インタビューを実施。
返信率の高いメールと、低いメールの決定的な差はいったい何でしょうか。安達さんに、くわしく教えていただこうと思います!(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)
メールの返信率を上げるたった1つのコツ
――コンサルタントとしてお客様とやりとりしたり、営業をしたりすることも多かったと思います。お客様からのメールの返信率を上げるために、工夫していたことはありますか?
安達裕哉(以下、安達):メールを書くとき、私が必ず気をつけているのは、「私はこちらのほうがいいと思ったのですが、あなたはどうですか?」という聞き方をすることです。
つまり、自分の仮説や意見を必ず書くことです。
すでにある程度進んでいる案件で、仕事の手順について確認したいときも、ただ「進めても大丈夫ですか?」と聞くのではなく、「以下1~4の手順で進めたいと思っています。問題ないでしょうか?」と、具体的な案を提示するようにしていました。
このような書き方をすれば、クライアントも「3の手順には時間がかかりそうなので、4を先にやってください」「2は難しいので、別のやり方にしたいです」など、要望を簡潔に答えることができます。
メールの書き方に悩んでいる人は、まずは、クライアントがじっくり考えないと返信できないようなメールを書いていないかどうか、自問自答してみるといいかもしれませんね。
自分でアイデアを出し、言語化し、それをメールにまとめるのって、向こうにとっては大きなストレス。クライアントが「イエス」「ノー」しか判断しなくてもいいようなメールを心がけるといいと思います。
――「これ、返信するのに結構時間かかるな。書くこといっぱいあるな」と思うと、返信するのも億劫になりますもんね。
安達:そうなんです。メールを送るには、一度話をまとめて、言語化する必要があります。読み返してわかりづらいときには、書き直すこともありますよね。
言葉を選ぶ、整理する、相手の反応を想像する、書き直す……などなど、「メールを返信する」という行為には、さまざまなコミュニケーションコストが内包されているのです。
――なるほど。コミュニケーションコスト、ですか。
安達:私は、誰かと話すときには、いつも「〇〇するコスト」を誰が払っているかを常に意識しています。