米国がリセッション(景気後退)に見舞われそうだと予測するのも、そうでないと予測するのも構わない。しかし今は、どちらの予測も過信しすぎるのはよくないだろう。米国が景気後退の瀬戸際にあることを示す証拠はたくさんある。例えば、財務省短期証券3カ月物の利回りは、10年物国債の利回りを大きく上回っている。このようなイールドカーブ(利回り曲線)の逆転は、過去にはほぼ決まって景気後退の予兆となってきた。イールドカーブに基づくニューヨーク連銀のモデルでは、今後1年間に景気後退が起こる確率は71%とされている。過去の景気後退のもう一つの前兆として米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げがあった。今回FRBは政策金利の目標を大急ぎで大幅に引き上げてきており、まだ打ち止めではないかもしれない。借り入れコストが上昇している上、銀行システムに最近亀裂が入ったため、金融機関は融資基準を厳しくしている。消費者信頼感を示す指標は低迷し、企業収益は減少している。