Photo by Keiko Tsuyama
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は年内に、新型の据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」を発売すると発表した。PS3の発売から7年ぶり。高精細な画像で交流機能が付き、対戦したり、自分がプレーしたゲームの映像をインターネットで配信できる。
2月20日のニューヨークでのプレゼンテーションはツイッターなどで話題になったが、日本のゲーム業界には冷めた見方が少なくない。「よほど画期的なゲームでなければ、ユーザーは既存のPS3で十分と考え、購入しないのではないか」(ソフトメーカー幹部)。
ソフトメーカーはPS3向けゲームの開発に莫大な投資をしてきた上、今もその新作を開発中だ。また、急成長のソーシャルゲーム市場向けにソフトを開発する必要もあり、PS4が売れるという公算がないかぎり、PS3以上に費用がかかる専用ソフトの開発に経営資源を振り向けられない。
現状では、魅力的なソフトが十分な数、供給されるのか疑問視される。ソフトの体制が十分でなければ、2011年12月に発売した「PS Vita」の二の舞いになりかねない。同機は今期の販売目標を3割下方修正するとともに、値下げに踏み切った。
任天堂の新型機「Wii U」も不調で、「スマホのアプリやソーシャルゲームを楽しむユーザーが増え、据え置き型の市場は相当に縮小している」(アナリスト)。
一部に、業績の悪化したソニーが株価対策に新型機の発売を急いだとの見方もある。PS4が新しいゲームの楽しみをユーザーに提供できなければ、ユーザー不在の商品開発とそしりを受けてもおかしくない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)