日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界300万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、 説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「日本人が知らない老後のお金の実態」について見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】日本人が知らない「老後のお金」の実態Photo: Adobe Stock

お金がなくなることより
大きな脅威とは?

 突然だが、米国で1年間に資産を減らした年金受給者の割合はどれくらいだと思うだろうか?

 なんと、7人に1人前後しかいないのだ。

 投資会社のユナイテッド・インカムの調査によれば、

「年金受給者の死亡時の年齢別平均遺産額は60代で29万6000ドル、70代で31万3000ドル、80代で31万5000ドル、90代で23万8000ドル」

 である。

 つまり年金受給者にとって、実際にお金がなくなることよりも、お金がなくなることの「恐怖」のほうが大きな脅威だといえる。

 もちろん、将来の年金受給者が現在の年金受給者より大きく資産と収入を減らす可能性はある。

 しかし、データはこれも裏づけていないようだ。

年齢・世代別の一人当たり資産が示すこと

 たとえば、連邦準備制度(以下、FRS)の資産に関する統計によると、同年齢の時点で比較すると、一人当たりの資産(インフレ調整後)は、ミレニアル世代(1980~1990年代半ば生まれ)とジェネレーションX世代(1965~1975年生まれ)で同等であり、同じくジェネレーションX世代とベビーブーマー世代(1950~1964年生まれ)も同等である。

 本書図表2にあるとおり、これら3世代の一人当たり資産は、時間の経過とともに同様の傾向を示している。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】日本人が知らない「老後のお金」の実態図表2 年齢・世代別の一人当たり資産(インフレ調整後)

貯金に関する
重要な2つの答え

 これは全体として、ミレニアル世代が資産を築くペースがこれまでの世代よりも遅いわけではない、ということを示している。

 もちろん、格差問題や、ミレニアル世代の一部が多額の負債を抱えているという問題はあるが、全般的に見れば、メディアで日常的に報道されているほど悲惨なものではない。

 社会保障面でも、事態はそれほど深刻ではない。

 労働者の77%は、自分の退職時には社会保障が受けられないと考えているが、給付金が完全に廃止される可能性は低い。

 2020年4月の「社会保障年金信託基金の数理的状況に関する報告書」によれば、同信託基金の資金が2035年頃に底をついた後でも、「予定給付額の79%」を支払うのに十分な収入がある。

 つまり、米国政府が現状の方針を変更しない場合でも、将来の退職者は推定給付金の約8割を受け取れることになる。

 これは理想的な結果ではないが、多くの人が想像している状況よりはるかにマシだ。

 こうした実証的研究からも、現在および将来の年金受給者の多くが老後資金不足に陥るリスクは依然として低いと考えられる。

 これが、自分たちが思っている以上に貯金する必要がない理由だ。

「できる範囲で貯金する」と「自分が思っているほど貯金する必要がない」が、「どれくらい貯金すべきか?」という質問に対する重要な2つの答えになる。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)